「ピーターパン」誕生に秘められた真実を描くミュージカル『ファインディング・ネバーランド』製作発表が行われました。
ミュージカル『ファインディング・ネバーランド』は、アラン・ニーによる戯曲『The Man Who Was Peter Pan』と、ジョニー・デップ主演で2004年(日本では2005年)に公開された同タイトルの映画(邦題「ネバーランド」)を元に創られたミュージカル作品(2015年ブロードウェイ初演)。
物語の主人公は、名作『ピーターパン』の作者である劇作家ジェームズ・バリ。スランプから抜け出せないバリが、ある家族に出会い、こどもたちとの出逢いを通じて物語を書き上げ、劇場で『ピーターパン』を上演するまでを描いた、実話に基づくストーリーです。
日本版の演出を手掛けるのは小山ゆうなさん。ジェームズ・バリの山崎育三郎さん、バリが出会う家族の母親シルヴィアの濱田めぐみさんをはじめ、素敵なキャストが揃いました。【楽曲披露】【会見】が行われた『ファインディング・ネバーランド』の製作発表をレポートいたします。
【歌唱披露】
♪1曲目 「ネバーランド」
ジェームズ・バリ役:山崎育三郎さん シルヴィア・デイヴィス役:濱田めぐみさん
バリはある日、ケンジントン公園でシルヴィアとその4人のこどもたちに出会い親交を深めていきます。こどもたちはバリと楽しく遊びますが、3男のピーターは、父親を亡くした寂しさから、夢見ることや希望を持つことをあきらめ、大人になろうと心を閉ざしていました。
そんな姿を見たバリは、シルヴィアに、自身も過去に同じように寂しい想いをしていたこと、そしてそんな時にバリが心の拠り所にしていたのが、自らが創り出した「ネバーランド」という世界だったと語ります。
♪2曲目「行くべき場所」
シルヴィア・デイヴィス役:濱田めぐみ
シルヴィアは、自身の病気は治らないものだと悟り、自身そしてこどもたちの将来に大きな不安をおぼえます。しかしそんなときでも、いつも支えてくれるバリ、そしてこどもたちがいるから、笑顔になれる、そして、明日を生きることができる。前を向いて今を生きようとする母の決意が感じられるナンバーです。
♪3曲目「足元が揺れるとき」
ジェームズ・バリ役:山崎育三郎さん ピーター役:小野桜介さん、長谷川悠大さん
3男ピーターは、母シルヴィアの病気がもう治らないことを知ってしまいます。お父さんが亡くなったときと同じ悲しみが繰り返されるのではと、強い不安に襲われるピーター。
そんな彼に対してバリが想いを語りかける、そしてピーターが初めて自分の気持ちを打ち明ける、2人の切ない葛藤を描いた1曲です。

ピアノ演奏は音楽監督の小澤時史さん
【会見】
会見では「本作の魅力、演じる役の魅力について」お話しいただきました。

ジェームズ・バリ:山崎育三郎さん
まずら本当にたくさんの大人が見ているとても緊張する中で、ピーターの二人がよく歌い切ったなと思います。偉かったね。
僕自身、ミュージカルの本読みで泣いたのはこの作品がはじめてです。そして自分が本当に大切にしているもの、なんのために生きているのか、なぜ今この仕事をしているのか、自分の原点に気づく。誰もが“自分自身の作品”として観られるところが魅力だと思います。僕が演じるバリは大人とこどもを行ったり来たりしている遊び心満載な人物です。

シルヴィア・デイヴィス:濱田めぐみさん
稽古場でこどもたちとお芝居をしていると本当に“嘘がつけない”。芝居なんですけどね(笑)。我々“大人の中のこども”と“こどもたちの中の大人”が会話をして、心をしっかりと動かしてはじめて生まれる物語が見どころです。そこから私が感じるのは、勇気をもって素直に生きていくということの難しさと素晴らしさ。また、私の役は4人のこどもたちの母親で、彼らを残して旅立ってしまいます。そこにもう一つのテーマ、こどもたちに未来を託し、彼らが希望をもって次の世代、世界をつくっていくということが表れていると思います。『ファインディング・ネバーランド』の世界はみなさんが待ち望んでいた世界、ぜひ一緒にこの世界を旅していただきたいと思います。

フローマン/フック船長:武田真治さん
見どころは美しい日本語に訳された歌詞。それを美しいメロディに乗せて育三郎さんや濱めぐさんの歌声で綴られたら……、この僕でも(笑)涙してしまいました。ミュージカルとはこうあるべきという、どれもシングルカットされてもおかしくない素晴らしい楽曲。それが最大の魅力かな。個人的には、ミュージカル『ピーターパン』2012年公演以来、11年ぶりにフック船長を演じます。今回のフック船長は、バリの中で彼のクリエイティビティが常識を超える時に、それを導くバリのダークな一部分として現れます。登場の仕方が本当にカッコイイので、そこも見どころの一つに付け加えさせてください。

メアリー・バリ:夢咲ねねさん
大人になるってどういうことなんだろうということを考えさせられます。いつの間にか大人になり、自分が好きだったことや、やりたかったこと、楽しいことを抑圧して生きているところもあるのかなと。私が演じるのはメアリー・バリ、バリさんの奥さんです。こどものような心をもつバリとの対比として大人の立場を理解して過ごすメアリーがいる。そんな存在です。

デュ・モーリエ夫人:杜けあきさん
この物語を見た後は心が洗われ若返っている、老若男女すべての皆様にお楽しみいただける作品です。さざ波のように愛がたくさん詰まっていて、こどもや若者だけではなく、どんな年齢になっても人は成長できるというメッセージがたくさん隠れています。私の役はシルヴィアの母、こんなにたくさん孫のいる役ははじめてです(笑)。存分にその大変さ、楽しさ、喜びを味わいたいと思っています。

演出:小山ゆうなさん
2017年のダイアン・パウルスさん演出の招聘版が本当に素晴らしく、作品のファンになった方もとても多いでしょう。そこにはパウルスさんとクリエイティブチームが試行錯誤をしながらみんなで作っていった痕跡がうかがえます。オリジナル版への敬意をしっかりもちながら、今、私たちにできる『ファインディング・ネバーランド』を模索していきたいと思います。バリも、シルヴィアも、そしてこどもたちも皆、深い傷を負っています。彼らが生きていくために、みんなでイマジネーションを使って圧倒的なファンタジーを生み出していくという作品です。地に足がついた人間の人生、そこからパッと飛んで行ったファンタジーの世界をしっかり描き出せればと思っています。
──子役のみなさんは、楽しみにしていることや頑張りたいことをお話してくれました。
ジョージ:越永健太郎さん
この舞台では楽器を弾くシーンがあるので、歌やダンスや芝居もそうですけど、楽器を頑張りたいと思っています。子役では最年長なので、チームワークよくみんなをまとめ上げられるように頑張ります。

ジョージ:ポピエルマレック健太朗さん
まずジョージは、お兄さんの役でみんなをまとめ上げる役だけど、まだやんちゃな部分もあって……そういう役を頑張って演じます。そして、ウクレレを弾くシーンがあるので頑張ります。楽しみなことは、やっぱり初日が一番楽しみです。

ジャック:生出(おいで)真太郎さん
僕の演じるジャックという役は4兄弟の中でどんな存在で、どんな心の動きするのかを毎日小山さんに教えてもらったり、自分でも台本を見て想像したりしています。最終的にどんなジャックが出来上がるのかというのは、自分でもとても楽しみです。それをさらにお客様に見てもらえるというのもとても楽しみです。

ジャック:豊田侑泉(うみ)さん
僕はこの『ファインディング・ネバーランド』がはじめての舞台です。一緒に頑張っているみなさんと舞台に立てることがとても楽しみです。ちょっとだけ緊張もしますが、たくさんの人に見に来てもらえるように、元気いっぱいジャックになりきって頑張りたいです。

ピーター:小野桜介さん
僕は小さい頃から「ピーター・パン」がすごい大好きだったので、この作品でピーター役を演じられることがとても嬉しいです。この作品が一生忘れられない素晴らしい作品になるように頑張ります。

ピーター:長谷川悠大さん
稽古がすごく楽しくて、本番もすごい楽しみです。頑張りたいことは歌です。なぜかというと、僕は歌が大好きで、その歌を使ってみんなを感動させられたらいいなって思って、歌を頑張りたいです。

マイケル:奥田奏太さん
頑張りたいことは、いっぱい拍手がもらいたいので、歌とダンスを頑張りたいです。楽しみなことは、イヌのポルトスと一緒に出られるのを楽しみにしています。

マイケル:谷慶人さん
歌がいっぱいあって、みんなと歌えるのがとっても楽しみです。はじめての舞台なので、ちょっと緊張するけど、頑張ります。みんな見に来てください。
──最後に山崎さんからメッセージを!僕は25年前、12歳の時に子役としてミュージカルでデビューしました。その時にミュージカル(俳優)を仕事にしたいと思ったことをよく覚えています。今、この作品に向き合うことで、改めてなぜステージ立つという覚悟を決めたのかという自分の原点に立ち返ることができます。みんなで最高の作品にして、最高の初日を迎えたいと思っています。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人