明治座創業150周年記念梅沢富美男劇団梅沢富美男・研ナオコ特別公演三山ひろし特別出演取材会レポート

楽しさ美しさがギュギュっと詰まった3時間！ 2023年6月23日～7月23日、創業150周年を迎える明治座にて、芝居・歌・舞踊の三部構成でお届けする珠玉のステージが繰り広げられます。「梅沢富美男・研ナオコ特別公演三山ひろし特別出演」にご出演の梅沢富美男さん、研ナオコさん、三山ひろしさんの取材会が行われました。

【ナオコ婆ちゃんより『清水の次郎長旅日記』について】

あらすじ
宿屋を営む老婆のお玉(研ナオコ)とその娘お花(小川菜摘)。二人のもとに、借金取りの赤鼻の十兵衛 (梅沢富美男)が子分たちを連れてやってくる。十兵衛は「お金を返すことができなければ、娘を連れて行く。また戻ってくる。」と脅し、その場を後にする。十兵衛の仕業によって莫大な金額となってしまった借金を返済できない二人は夜逃げを決意。そこに、清水の次郎長(三山ひろし)と大政(竜小太郎)・小政(門戸竜二)が宿を貸してほしいと現れる。事情を聞いた清水の次郎長は、親子を助けるべく、お玉にアドバイスをする。再びお玉のもとにやってきた十兵衛たち。親子と清水の次郎長の運命はいかにー。

──まずはお芝居、「ナオコ婆ちゃんより『清水の次郎長旅日記』」について現段階での構想などお聞かせください。

梅沢さん）
あらすじのとおり、“弱きを助け強きを挫く”という人情芝居の最たるものです。言うなればいつものパターン(笑)。話の内容を話せば数分で終わってしまうのですが、その筋をどう膨らませるのが役者の腕！ご期待ください。

研さん）
私は“婆ちゃん”、“時代劇”なのにバリバリにネイルをしてスワロフスキーをキラキラさせて、まつ毛をつけてアイシャドウを塗って……

梅沢さん）
はい、あまりネタはしゃべらないように(笑)！研さんはこちらが悔しくなるくらいの才能があるんです。役者にとって何よりも難しい“笑いの間（ま）”、その呼吸を自然に会得されている名優なんです。

──研さんから見た、役者梅沢富美男さんの魅力は。

研さん）
梅沢さんは稀有な役者。何をやっても面白いですし、そうかと思えば女方では綺麗で色っぽい。この方がですよ(笑)。日本にも、世界にもこんな方はほかにいません！

梅沢さん）
そんな僕らは10年来一緒にやってきていますので、もはや刺激も何もないんですが(笑)。

研さん）
はっきり言いすぎ(笑)！

梅沢さん）
今回は、そこに三山さんを清水の次郎長役でお迎えします。

三山さん）
清水の次郎長には粋で気風がいい、そんなとても格好いいイメージをもっています。それが今回のお芝居ではどうなるのか、今から楽しみです。芸は見て盗めと申します。先輩方の姿をしっかりと見てスポンジの如くたくさんのことを吸収し、頑張りたいと思います。

梅沢さん）
（公演ポスターのご自身を指して）盗むと言っても、今回、これですけど大丈夫でしょうか(笑)。

研さん）
私もナオコ婆ちゃんですし(笑)。

三山さん）
しっかりと勉強させていただきます！

【明治座への思い】

──創業150周年となる明治座への思い、思い出などお聞かせいただけますか。

梅沢さん）
舞台役者にとって明治座の舞台に上がることは大変名誉なこと。僕は36歳の時に仲間たちと初めて明治座の舞台に立ちました。その時、舞台に一緒に立ち、普段は僕を褒めることのなかった母が初めて褒めてくれました。以来、37年にわたり明治座で公演を続けさせていただいていることを誇りに思っています。今回、150周年記念として公演できることをありがたく思っています。

研さん）
私は歌を歌ってきただけの人間。それも演歌でも歌謡曲でもない、どこにも属さない歌手だった私が梅沢さんのところでお芝居をさせていただいています。でも役者じゃないからと手を抜くわけにはいきません。いつももっと頑張らなきゃという思いでお芝居をしてきました。そんな私が梅沢さんに導かれ明治座さんでの昼夜一ヶ月公演を務めるようになりました。歌手活動ではなかなかこのような機会はありませんので、はじめは体力的にも心配でしたが、これに慣れてくると、今度は1日限りのコンサートが物足りなくなるんです(笑)。また、新しいお客様にも出会うことができ、コンサートとは違う反応も新鮮です。今回も、明治座さんのお客様に楽しんでいただけるようにしっかりと務めます。

三山さん）
僕は25歳の時に故郷の高知から上京しました。その時に歌手になることを誰よりも応援してくれた祖母に「大劇場でたくさんのお客様の前で歌えるような歌手にならなきゃいけないよ」と言われました。ですので、明治座さんで座長公演を務めさせていただいた時は嬉しくて夢見心地でした。今回は、お二人をはじめ大先輩方とご一緒させていたき、また、大きな期待をかけていただいておりますので、それに応えるために歌も芝居も一つひとつ、一瞬一瞬に気持ちを込めて務めます。

【演劇は元気の源！】

──人情芝居と笑い、歌謡オンステージ、舞踊とお楽しみいっぱいの公演です。

梅沢さん）
みなさんの心がコロナで疲れ切っている。それじゃあ、芝居で義理・人情に触れ、さらには笑っていただきましょう。素晴らしい歌も聴いていただきましょう。美しいものも見ていただきましょう。そんな贅沢な公演です。第二部は私が司会をして研さん、三山さんの素晴らしい歌声を堪能していただき、第三部の舞踊では娘三番叟で明治座創業150周年記念をお祝いしたいと思っています。男優たちは三番叟の格好で。これもまた豪華ですよ！

──お話を伺っているだけで心がウキウキしていきます！

梅沢さん）
僕はこれまでも研さんと日本全国を回ってきました。僕らの公演にいらしたお客様の忘れ物でいちばん多いのは何だと思いますか？それは「杖」なんです。舞台を見て、笑い、感動することでアドレナリンが出てみなさんが元気になって帰られる。嬉しいじゃないですか！

──ちなみにみなさんの元気の源は？

研さん）
元気の源はやっぱりお客様の笑顔。客席からみなさんが楽しみ、喜んでいらっしゃる様子が伝わってくると疲れも吹き飛びます。

梅沢さん、三山さん）
そのとおり！

【メッセージ】

──公演を楽しみにされているみなさんへのメッセージを

三山さん）
150年という歴史のある明治座さんの舞台に立ち、演じ歌うことができる。その嬉しさ、お祝いの気持ちも込めてお届けします。歌でも芝居でも、表現にはその人の人間性が表れると言われます。ですので、僕はとにかくなんでも一生懸命、それしかないです！

研さん）
梅沢さんの楽しい舞台、そこに三山さんが参加されることで、いつもとは違う面白さも加わるでしょう。53年、歌の世界で生きているといろいろとわかるんです(笑)、三山さんの笑顔はホンモノ！とっても綺麗な目をされているんです。三山さんと私たちでどんな化学反応が生まれるかご期待ください。きっと楽しい気持ちでお帰りになれますので、構えずに気楽に遊びにいらしてください。

梅沢さん）
みなさん、日々大変なこともたくさんあるでしょう。僕らは演劇を通してみなさんに楽しんでいただき、嫌なことを全部吹き飛ばして、元気になって帰っていただければそれで充分。そうやって73歳まで役者を続けてきました。ぜひその集大成をご覧いただければと思います。芝居を楽しんで、三山さん、研さんの歌に感動して、舞踊ショーにうっとりしていただくあっという間の3時間。明治座でお待ちしています！

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終始笑いに包まれた取材会、梅沢さんと研さんの丁々発止のやり取り、そんなお二人を前にたじたじの様子の三山さん。すでに公演の楽しさが垣間見えるようなひとときでした。それでいて、互いの芸には敬意を払い、自らの芸には厳しく、かつ誇りをもつ。その道を究めたみなさんの共演がさらに楽しみになりました。