フィリップ・リドリーの児童小説を白井晃演出で上演!
夏休みの子どもにも大人にも“心に残る演劇体験”せたがやこどもプロジェクト2023《ステージ編》『メルセデス・アイス MERCEDES ICE』開幕! 開幕コメントと舞台写真が届きました♪ おけぴ観劇プチレポも!
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
細田佳央太、豊原江理佳、松尾諭
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
左から)斉藤悠、大場みなみ、東野絢香、細田佳央太、豊原江理佳、松尾諭、名村辰、篠原悠伸、今泉舞
イギリスの劇作家フィリップ・リドリーの同名児童小説を原作に、世田谷パブリックシアター芸術監督の白井晃さんが演出する『メルセデス・アイス』。2012年にまつもと市民芸術館を拠点として活動する劇団TCアルプのため、白井さんが創作した作品を、「いま」を生きる子どもたちのための作品としてリクリエイション!!
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
左から)大場みなみ、東野絢香、松尾諭、名村辰、篠原悠伸
【演出 白井晃コメント】
敬愛するフィリップ・リドリーの『メルセデス・アイス』を、キャスト・スタッフの力を合わせて、舞台化することが出来たことを本当に嬉しく思っています。やはり、この世界観はリドリーにしか作れない独自のものです。
若い俳優の皆さんと一緒に、試行錯誤しながら創作した時間は、私にとって宝石のようなものでした。そして、子どもたちがどんな反応をしてくれるのか、とても楽しみでもありました。面白いのか、つまらないのか、楽しいのか、怖いのか、どんな感想を持ってくれても良いのです。
劇場を去る時、にやにやしている子どもたちの顔を見て、私はとても幸福な気持ちになりました。
この劇場での体験が、子どもたちの脳裏に焼き付いて、素敵な記憶に繋がることを心から願っています。
【メルセデス・アイス役 細田佳央太コメント】
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
細田佳央太
舞台『メルセデス・アイス』初日が無事終わりました。ご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。
終演し有難いことに拍手をいただいたのですが、僕自身、板の上から拍手を浴びるのが初めてで。じんわりと温かい気持ちになったのですが、思ったほど「達成感」はなくて。でもそれはこの舞台、この作品がこれから始まるからこそなのかなと。
『メルセデス・アイス』チームと、来てくださる皆様と、もっともっとより良い作品にしていけたらと思います。
引き続き、宜しくお願いします。達成感の拍手、浴びたいなぁ。
【ヒッコリー役 豊原江理佳コメント】
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
手前)豊原江理佳 奥左から)斉藤悠、大場みなみ
『メルセデス・アイス』の幕が開きました。お子様から大人の方々まで、どの世代の人たちにも心で感じていただけるメッセージがたくさん散りばめられた作品だと実感しています!!
心と体をめいっぱい使って、メルセデス・アイスの世界をお届けします。
ドキドキ、ワクワク、切ない、勇気が湧いてくる…ぜひ劇場で体験してください!
【ロージー・グロウ役 東野絢香コメント】
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
手前左から)篠原悠伸、東野絢香、斉藤悠、大場みなみ
奥左から)松尾諭、細田佳央太
まずは座組の全員で、無事に初日を迎えることが出来た事、とても嬉しく思います。
「まるで絵本を子どもに読み聞かせるかのように」と白井さんが稽古場でおっしゃっていたように、稽古を重ねて大人達がどんどん真面目にふざけ始めて、なんだかとっても可笑しく愛おしい作品になりました。
“小さな”お客様から“大きな”お客様まで、みんなで童心にかえって、劇場という空間を楽しく共有出来たら嬉しいです。
是非、お待ちしております。
【スキップ役 松尾諭コメント】
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
手前)松尾諭
奥左から)今泉舞、名村辰、東野絢香、斉藤悠、大場みなみ
大人がつくった子どものための舞台なので、お子さんは一人の登場人物として物語を観ていただけると、終演後のおまけがより一層おもしろくなる、かもしれません。
大人の方々も自身の子どもだった頃、また子どもに対する価値観と照らし合わせながらご覧いただけると、作品をより一層楽しめるかと思います。
是非劇場にて、五感を刺激しにいらしてください。
【観劇プチレポ】
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
左から)東野絢香、大場みなみ、今泉舞、名村辰
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
手前左から)名村辰、東野絢香
奥左から)大場みなみ、斉藤悠、豊原江理佳、細田佳央太
これは思った以上に“ガチな白井作品”!劇団TCアルプ版は未見のおけぴスタッフ。一体、どんな作品なのだろうと劇場に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのはがらんどうの空間。そこに“絵に描いたタワー”が天井から吊るされています。このなにもない舞台というのも、劇場を訪れる子どもたちにとって新鮮に映ることでしょう。なにより、その空間に、照明、小道具、大道具、音響、衣裳をまとった俳優たちの芝居……そして観客の想像力でものがたりが立ち上がるという体験はその衝撃の幕切れまで含め(‼)忘れえぬ経験になることでしょう。
俳優たちは、舞台上はもとより客席もなぞの通路も縦横無尽に駆け巡り、PLAY、その空間で遊んでいるかのように躍動! どこからなにが飛び出すかわからないビックリ箱のようです。そして、運がよければすぐそばで俳優が声を発することも。その間近で聞く舞台俳優の台詞のなんと力強いことか! そのエネルギーを体感するのもとても素敵なこと。
お話は、甘くない。ここではないどこかのものがたり。ある街に高層タワーが建設されることで、太陽光が遮られ、街の景色は一変する。一階、また一階と高さを増すタワーに憧れる子ども、タワーを嫌悪する大人。それぞれの価値観が形成されます。
タワーに憧れた子どもたちもやがて親となり、その子どもたちの世代までを1時間30分で描くのですが、そこは演劇の不思議。俳優はそれぞれの役を演じながら語り部の役割も果たし、時の経過、人間関係をわかりやすく観客に受け渡します。お話の展開も、個性豊かな登場人物たちの人生の要所要所をスパッと切り取って、テンポよく、「あ、そこあっさり行くのね」「いつの間に!!」など心の中でツッコミながら自然に同じ時を駆け抜けるような感覚。
デフォルメされたキャラクターを身近に感じさせる俳優たちの存在感。しゃべり方も見た目もカラフルでポップ、絵本から飛び出してきたかのよう。でもそれぞれが何かを象徴するかのような、どこかの誰かを彷彿とさせるような、大人にはそれがときどき辛辣なメッセージとして刺さります。それはもちろん、大きくそびえ立つタワーも含めて。
メルセデス・アイスを演じる細田佳央太さんのまっすぐな芝居は子どもの無邪気さと残酷さを鮮明にし、幼馴染のヒッコリーを演じるのはファンタジーの中の真実を演じさせたらやっぱりピカイチの豊原江理佳さん。一方で、キーパーソンとなる影のタワーの作業員(作品全体のナレーター)を演じる松尾諭さんはひと言でいうと通常運転。日常と非日常を自由に行き来するようにものがたりに導くその存在は、観客の心に深く刻まれ長く記憶に残ることでしょう。
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
左から)今泉舞、篠原悠伸、細田佳央太、豊原江理佳、斉藤悠、大場みなみ
『メルセデス・アイス』(2023年) ©二石友希
左から)松尾諭、細田佳央太、豊原江理佳
あらすじ
“Shadow Point”で生きる3世代にわたる家族のおはなし
メルセデス・アイスは影のタワーのことならなんでも知っている「影のタワーの王子」。
ある日、世界は黒と白の色のない世界に。
おもちゃのロボット、ドールハウス、お菓子やチョコ・・最後に欲しかったのは、「色」でした。
というあらすじにもあるように、「色」の存在など、同じ劇場で上演されていたミュージカル『カラフル』とどこかつながるようなものがたり。そのラストシーンはまったく異なるのですが、いずれ劣らぬ”忘れられない観劇体験”となることでしょう。
さらに!終演後には、劇中で登場した小道具たちが再び舞台上に並べられ、観客はそれらを近くで見ることができます。(静止画の撮影可)
思ったより大きいな、細かいところまでよくできているななど、大人も子どもも興味津々の様子。がらんどうだった舞台空間を埋め尽くす小道具は、まるでものがたりの欠片のよう。そして舞台一面がモノに満たされた景色、子どもたちの笑顔、真剣なまなざしは観劇後の心の中を映し出しているようです。
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※各回150名限定、先着順(要予約)、要発券手数料、当日要証明書
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この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました
観劇プチレポ:chiaki(取材・文)監修:おけぴ管理人