【作】 横山拓也 コメント
起筆の準備は孤独な作業だと思っていたので、今回、演出の瀬戸山さん、芸術監督の白井さんと作品のスタート地点を決める会議を繰り返し行なったことがとても新鮮で、作劇の共犯関係を築くようなゾクゾクする時間でした。それが「不条理」になったことも意外で、これまで書いてきたものとは全然違うことをやっていいんだよと、お墨付きをもらった気分です。そういえば、大学1年生のときに対話文の小説を書いて授業で発表したときに、同級生から「別役実みたいだ!」と言われたことを思い出しました。あの頃の自分の手つきなんて何も覚えていないけど、書くことをシンプルに楽しんでいた記憶はあって、今、改めて創作の原点に戻ったようでもあります。『う蝕』がどんな不条理劇になるのか、僕自身も楽しみたいと思います。【演出】 瀬戸山美咲 コメント
とっても魅力的な6人の俳優さんたちと、横山さんが描くおかしくて奇妙な物語に挑戦します。先日、みなさんと横山さんの過去の台本を読んでやってみるワークショップを開催したのですが、スリリングでありながら、ずっと笑いの絶えない刺激的な時間でした。真剣なのか、ふざけているのか。絶妙なライン上を飄々と歩ける素晴らしい俳優さんたちです。ひとりひとりの個性が際立っていて、誰と誰が組んでも新鮮な驚きがあり、稽古がとても楽しみになりました。6人の混沌の中にみなさんをご案内いたします。どうぞ、ご期待ください。坂東龍汰 コメント
僕自身5年ぶり、2回目の舞台なので今から緊張してますが思い切り頑張りたいと思います。近藤公園 コメント
昔から、少人数の男だけの芝居に惹かれます。プレハブ小屋で、缶ジュースと煙草の煙と、ほんのり汗臭くて、そしていつも途方に暮れる。はっきり言って気楽だ。いつもより躊躇なく、ささっと恥を捨てられそうな気がする。綱 啓永 コメント
今回、舞台「う蝕」に出演させて頂くことになりました!正名僕蔵 コメント
“う蝕”とは医療用語で虫歯のことだそうです。私はてっきりこの作品のための造語かと思っていました。そう勘違いしたまま、“う蝕”という文字を眺めていると、ひらがなの“う”が得体の知れない不穏な生き物のように見えてきて、“う”に人が蝕まれる光景などをこわごわ思い描いたりしましたが、れっきとした医療用語だと知り、筋立てに則した題名だったんだと腑に落ちました。とはいえ、“う”の不穏さはいまだ消えずにいます。『う蝕』、どこか怖い題名です。そして題名にすでに、横山さん&瀬戸山さんの目論見が仕掛けられているわけですから、そこに気づくとまた怖い。どんな舞台になるのでしょう。お楽しみに。新納慎也 コメント
この作品のオファーをいただいた時はまだ何も決まっていませんでした。相島一之 コメント
男6名だけの芝居。しかも気がつけば曲者だらけとなってしまった。1度この6名でワークショップをやったのだが、その面白いこと。その男たちで横山拓也さんの新作戯曲に挑戦できる。なんと当て書きである!役者として当て書きほど名誉なことはない。それを瀬戸山美咲さんが演出してくださる。ワークショップの時もケラケラと笑いながら鋭く厳しいお言葉で我ら俳優を導いてくださっていた。そもそも『う蝕』なんてタイトルがまず謎だ。怖い話なんだろうか。笑える話なんだろうか。『う蝕』について
瀬戸山は横山の戯曲の魅力について、「とても解決しづらい問題をど真ん中に置き、それについて人間ドラマが展開していくことだと思うのですが、瞬間瞬間の会話自体がスリリングで、人を引き込む力がある」と語っています。そこで今作は、そうした横山の創り出すスリリングな会話劇に特化した作品づくりを目指すことに決まり、シーン自体がセリフだけで進んでいくような展開の立案から、不条理劇という手法へとたどり着きました。横山は「今回は劇作家として、構成というか形というものに向かう色気みたいなものを排除して、徹底的に会話させることで面白いものができるのかなとイメージしています。」と語っています。
そしてストーリーには、横山が今も脳裏から離れない風景──震災後の焼け野原で、身元不明の遺体の中に立つ男がいる、彼は歯の手術痕から身元の特定を試み続けた実在の医師である…― をベースに置き、更にはフランツ・カフカ、サミュエル・ベケット、別役実の作品をモチーフの参考として創作していきます。
「う蝕」とは虫歯のこと。荒れ果てた町で、歯のカルテを使い遺体の照合をするために集められた歯科医師と役人が、ひたすらその場に集められたこと、その目的をみんなで探りあっていき、ストーリーは展開していきます。