世田谷パブリックシアターにて開幕した、脚本:フジノサツコ×演出:森新太郎による新作『メディア/イアソン』。演出家・出演者からのコメントと舞台写真が届きました!

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
井上芳雄、南沢奈央

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
南沢奈央、井上芳雄
【演出】森新太郎コメント

『メディア/イアソン』演出:森新太郎
私が希求していた『メディア/イアソン』の劇世界に、ようやく辿り着いたと思えた初日でした。おとぎ話のようでもあり、同時に生々しい人間ドラマでもある。この絶妙のバランスを追求すべく、美術・照明・音響・衣裳・ヘアメイク・振り付け・5人の俳優……すべての分野の人たちが力を出し尽くしてくれました。特に井上君をはじめとする若き俳優陣の限界知らずのパッションと軽やかさには、感動すら覚えています。
フジノサツコさんが構想した「アルゴナウティカ」と「メデイア」の融合が、私には本当に刺激的で、大いに演出欲を掻き立てられました。このような叙事的な語り口で、メディアとイアソンの物語が上演されたことはかつてなかったのではないでしょうか。淡々と、しかし容赦のない速いスピードで、2 人の愛の行く末が描かれます。是非とも多くの方々に、我々の新しいギリシャ悲劇を体感していただき、感想を伺えたらと思います。劇場にて、お待ちしております。
【出演】井上芳雄コメント

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
物語の展開に合わせて、観客の皆さんの集中力が終幕に向けて段々と高まっていく……いまだかつてない、特別な2時間でした。
森さんの強い情熱と、細部にまでこだわりぬく演出に率いられ、稽古を重ねてきました。演劇は、才能だけでも、情熱だけでも、そして一人だけでもできない。みんなで積み重ねていく過程が面白いんだな、それが好きなんだな、と再確認した稽古期間でした。
イアソンはこれまでに演じたことのない役どころで、とても新鮮です。演じれば演じるほど、知れば知るほど得るものがある、深い戯曲ですが、現代の我々にも通じるところも多く、近寄りがたい物語ではありません。構えず、気負わずにご覧いただき、思ったように感じていただけたら嬉しいです。
【出演】南沢奈央コメント

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
初日を迎え一旦完成したこの作品が、これから回を重ねるごとに更に変化していくんだろうなと、ワクワクしています。客席には緊張感がありましたがお客様の集中力が伝わってきて、膨大な台詞もギリシャ劇ならではの難しい言葉も、観て聴いてくださっているのがわかり、嬉しく感じました。森さんが仰っていたように、この作品には今の人達と変わらない普遍的なものが含まれていて、物語として共感していただけると思いますし、心を動かす瞬間があると思います。ギリシャ劇だからとあまり気負わずに、演劇ならではの表現を楽しんでいただきつつ、それぞれの登場人物のストーリーを感じ取っていただけたら嬉しいです。
【出演】三浦宏規コメント

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
客席の皆さんがどう受け止めてくださるのか、楽しみ半分、不安半分で迎えた初日。
でも、緊張し過ぎて客席のことが気にならなくなるほどだったのですが、その分『メディア/イアソン』の世界に集中して挑むことができました。カーテンコールで明かりが点いた瞬間、客席の皆さんの拍手や表情から、この壮大な物語をお届けすることができたんだなとほっとしました。
森さんの演出作品には初めて出演させていただきましたが、学びの多い、充実した稽古期間でした。僕にとって、次のステップへと踏み出す貴重な経験をいただけたと感謝の気持ちでいっぱいです。
難しく考えずご覧いただける作品に仕上がっているかと思うので、ぜひたくさんの方にご観劇いただきたいです。
【出演】水野貴以コメント

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
皆で温めてきた『メディア/イアソン』がついに幕を開けました。黒を基調とした舞台にたった 5人のキャスト。所狭しと走り回る空間の広いこと!けれど不思議と不安は無く、その広い空間と5人のキャストの間にそれまで皆で作り上げてきた確かな温かさみたいなものがぎゅっと詰まり守ってくれているような感じがして。そこへお客様が入ったことの充実感、今ここに居る幸せが相まって、いつまでも心に留めておきたい初日となりました。開演前、あまりの緊張に演出の森さんの所へ助けを求めに行くと、「水野にかかってるぞ!」と森さんらしい冗談で和らげてくれて(笑)、また頼もしい出演者の皆にも気持ちをほぐしてもらい、その一つ一つに愛が溢れて止まらないです。
【出演】加茂智里コメント

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
ご本人には内緒にしておりましたが、井上芳雄さんと同じステージに立つのが夢でした。まさかこんな日がくるとは思いませんでした。初日を終えて、お客様お一人お一人がとても真剣に観劇してくださっていたのを感じました。芳雄さん、奈央さん、三浦さん、貴以さん。舞台上で 4 人の家族を見つめる気持ちは、どこかメディアがイアソンに抱く恋心に似たものがあります。森新太郎さんと共に何度も稽古を重ねた『メディア/イアソン』、最後までお楽しみいただけましたら幸いです。

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
手前左から)井上芳雄、南沢奈央、三浦宏規

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
三浦宏規、加茂智里、水野貴以、井上芳雄

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
三浦宏規、井上芳雄
【作品について】
『メディア/イアソン』では、脚本フジノサツコの筆と、森新太郎の演出により、その前日譚である、若き日の二人の出会いと愛情に満ちた日々を鮮やかに照射し、太陽のような存在であった二人が悲惨な結末を迎えるに至るまでの顛末を、二人の間に産まれた三人の子供たちの視点を通して描き出していきます。

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
右手前)井上芳雄

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
井上芳雄、南沢奈央

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
井上芳雄、南沢奈央
脚本を手掛けるのは、森新太郎が主催するモナカ興業の作家フジノサツコ。フジノは数多くの「メディア」伝承に着目し、異国の地で生まれたメディアとイアソンが、まるでロミオとジュリエットのように十代でめぐり逢い、幾多の障害を乗り越えながら愛を成就する経緯を作品の前半に置くことで、後半の復讐劇をより際立たせていく構成をとりました。

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
南沢奈央

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
井上芳雄、南沢奈央

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
井上芳雄
タイトルロールの一人、イアソン役を演じる井上芳雄、愛にあふれた王女メディアを憎しみにかられた女性へと至らしめる夫イアソン役をどのように構築していくのか、注目が集まります。もう一方のタイトルロール、王女メディア役には南沢奈央、ピュアな演技力に加え、その研ぎ澄まされた考察力や文学的なセンスも生かし、ギリシャ悲劇の中でも壮絶なヒロイン・メディア役で新たな一面を開花させることでしょう。そしてイアソンとメディアの間に産まれた三人の子供たちを演じるのが、三浦宏規、水野貴以、加茂智里。この五名のキャスト陣は、世田谷パブリックシアターの企画制作公演には初登場となります。
この素晴らしい出演者と、森が厚い信頼を寄せる実力派のスタッフ陣により、新たな視点で描かれるギリシャ悲劇『メディア/イアソン』。当劇場の 2023 年度演劇公演の掉尾を飾る本作、ぜひ劇場でお楽しみください!

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
三浦宏規、南沢奈央

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
手前)南沢奈央 奥左から)水野貴以、三浦宏規、加茂智里

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
水野貴以、三浦宏規、加茂智里、井上芳雄

『メディア/イアソン』撮影:細野晋司
手前)井上芳雄
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました