2013/05/08 六月新派公演『新釈 金色夜叉』記者懇親会


写真左から:英太郎さん、波乃久里子さん、風間杜夫さん、水谷八重子さん


新派百二十五年 六月新派公演にて30年ぶりに上演される『新釈 金色夜叉』。
劇団新派の中心女優として活躍されている水谷八重子(みずたに やえこ)さん、波乃久里子(なみの くりこ)さん、
新派唯一の女形として芸を継承している英太郎(はなぶさ たろう)さん、
そして新派公演の “常連” としてお馴染みの風間杜夫(かざま もりお)さん。
華やかな4名の出演者の皆様が顔を揃えた記者懇親会の模様をお届けいたします。


金屏風を背に和やかな雰囲気の懇親会となりました!
明治の大ベストセラーとして知られる尾崎紅葉作の『金色夜叉』。
熱海の浜で、貫一がお宮を足蹴にするシーンでも知られるストーリーは
日本人なら誰もがどこかで触れたことがあるほど、お馴染みのものですよね。

貫一とお宮の悲恋物語、そして文明開化の波が押し寄せる明治という時代を軸に、
個性豊かな登場人物たちにスポットをあてて、
劇作家・宮本研さんが昭和56年に文学座に書きおろした『新釈 金色夜叉』は、
新派でも昭和58年に国立劇場にて上演されました。

将来を約束していた貫一ではなく他の男との結婚を決めた “鴨沢宮” 、
自分を裏切ったお宮の前から姿を消し次の時代を見据えながら高利貸しとして生きる “間貫一” 、
士族の娘でありながら高利貸しの妻となり社会の裏を見てきた “赤樫満枝” 、
そして後に宮本研さんが書き下ろした一人芝居のモチーフともなった “老女” 。

今回30年ぶりに同じ役で出演される水谷八重子さん(赤樫満枝役)、波乃久里子さん(鴨沢宮役)、英太郎さん(老女役)、そして新たに作品に参加する風間杜夫さん(間貫一役)が、この作品に対する意気込みを語りました。



【水谷八重子さんコメント】
30年前にこの作品に出演した時のことをほとんど覚えておりません。
お花をいける場面がありまして、その花をきれいにいけることで頭がいっぱいだったことだけを覚えております(笑)。
今回あらためて台本を見まして、あまりの台詞の分量の多さにびっくりいたしました。
これをお客様に楽しく面白く聞いていただかなければならない、これはとても怖い役だな、と。
さてどうなりますことやら……スリルとサスペンス、でございます(笑)。
(文学座で赤樫満枝を演じていた)杉村春子先生は、その話術・台詞術でお客様を手玉に取るように舌の上でコロコロコロっと転がしていらっしゃいました。
同じ事は到底出来ないと思いますが、この膨大な台詞を喋っているうちに、いつかどこかで赤樫満枝という女になれるかもしれない、千秋楽までにはきっと何かが出て来るのではないかと…。台詞を喋る機械にだけはなるまいと思っております。
風間さんとはほとんど初めて一緒にお芝居をさせていただきます。
印象を、といわれましても今はまだなにもございません(笑)。白紙でございます。
これから “間貫一” としてお目にかかりたい、 “赤樫満枝” として挑みたい、そう思っております。
ですから今ここで心から申し上げます、「風間さん、よろしくお願いいたします」。
【波乃久里子さんコメント】
先代の八重子先生が「噂されるのが本当の主役」とおっしゃっていましたけれど、
このお宮という役は本の中で「群鶏中の一鶴」とか「美しい」とか80回くらい言われているんですね。
ですから本当の主役なんです(笑)。
最初から最後まで、彼女の話はその “美しさ” で終わる。それが今回演じるにあたって一番のネックですね(笑)。
ただ弟(故・中村勘三郎さん)もよく言っていましたけれど、(自分のことを)「日本一いい顔だ」と思ってやらないと歌舞伎役者なんか務まらないって。
今度のお宮も「日本一きれいだ」と自分に言い聞かせて演じたいと思っております(笑)。
お宮という役は “現代” というものの本質をついている役。
もとの小説をお書きになった尾崎紅葉先生が、当時の “今” を現代感覚で描いていらっしゃる。
お金のことばかりではなく現実的に物事を捉えている人、けれども本当の愛をまだ知らなかったから道を誤ってしまったんですね。
見てくれは “明治の女” 、中身は “現代の女性” という感じで演じたいと思っております。
(風間杜夫さんの印象)
風間さんとは初めてお会いした時に大喧嘩をしたんです。朝の6時まで(笑)。
その後なぜか仲良くなりまして、この方は絶対に新派にとって必要な方だ!と、1ヶ月ほどラブコールをして口説き落としました(笑)。
風間さんは私の父(十七代目中村勘三郎さん)に雰囲気が似ているんです。
弟にも似ているところがあって、なんと言いますか歌舞伎役者的なものを持っていらっしゃるような……同じ “血” を感じております。
新派にとって大事な座員のひとり(笑)、私にとっては“救いの神”です。
一緒に演じていてほんとうに楽しい。大好きです!


【英太郎さんコメント】
私にとってこの狂言はとても思い出深い作品でございます。
最初にやらせていただいた時はまだ若かったですから「私、老女役なんて…」と思いましたけれど(笑)。
やってみますと “役を作っていく” という楽しさがありました。
宮本先生に「これは(老女役の)一人芝居でもいけるね」と言っていただき、「英の会」という自分の会のために一人芝居を書いていただきました。
今回も当時のことを思い出しながら演じさせていただきたいと思います。
私も風間杜夫さんとは初めての舞台でございます。芝居でやり取りするのは風間さんとだけ。後はもう空気のように流れて参りますので(笑)、どうぞよろしくお願いいたします。

【風間杜夫さんコメント】
“劇団新派” の風間杜夫です(笑)。
これまで(波乃)久里子さんとは何度もご一緒させていただき色々と教えていただいております。今回は八重子さん、英さんともご一緒ということで大変楽しみにしております。
“間貫一” という役を演じるのですが、 “間寛平” さんにならないように頑張りたいと思います(笑)。
「今月今夜のこの月を、俺の涙で曇らせてみせる」という名台詞をいかに照れずにやれるか、またこの台詞が飲み屋で流行したり社会現象になったりすればいいなと(笑)、そのような気持ちで演じたいと思っております。
先日、同じ宮本研先生の作品『今ひとたびの修羅』で老人の役をさせていただき、今回は旧制高校の詰襟姿ですから…すごい年齢の幅ですよね。
え?こちらのほうが似合っている(笑)? 気持ちを若々しく持ってフレッシュに貫一を演じたいと思います。
尾崎紅葉の原作には、拝金主義やお金に走る世の中の風潮に対する批評性というものが底流にあるという気がしますが、演じるときには、いかに間貫一という男をリアルに生身の人間として演じることが出来るかというところを大事にしていきたいですね。
(新派の作品に参加してみて)
最初は戸惑いもありましたが、今は新派で学ばせてもらったものが随分と役に立っているということを実感しています。
日本人が持っていた奥ゆかしさや立ち居振る舞い、そういったものの美しさを僕は新派から教わりました。
『婦系図』に出演した時に、花柳章太郎先生のお作りになった湯島天神での別れの場面の“型”を教えていただいたのですが、後ろに流れている清元と動きがピタッと合うことに驚きました。これは “和製ミュージカル” だな、と。
役者は「気持ちが入ればお客様に伝わる」と思うところがあるけれど、なるほど型から入っても気持ちが起こるし伝わるんだ、ということをその時に知りましたね。
それこそが新派の素敵なところ。これからも伝承していくべきスタイルが新派にはあると思っています。



誰もが知っている“貫一・お宮”のストーリーを、『美しきものの伝説』『今ひとたびの修羅』などで知られる劇作家・宮本研さんがそれぞれの登場人物にスポットを当てて描いた『新釈 金色夜叉』。

金銭がきっかけで人間の価値観が狂っていくという現代にも通じるテーマ、
そして日本人ならではの美意識、所作のひとつひとつまで神経の行き届いた独特の新派の世界。
懐かしくも新しい新派公演、この機会にぜひ劇場へ足をお運びください!




【公演情報】

新派百二十五年 六月新派公演 『新釈 金色夜叉』
2013年6月3日(月)~23日(日) 三越劇場

作:宮本研
補綴・演出:成瀬芳一

出演
水谷八重子
波乃久里子
英太郎
風間杜夫

瀬戸摩純 鈴木章生 高橋よしこ 田口守 柳田豊
矢野淳子 児玉真二 木内宣輝 松村沙瑛子 中嶋ゆか里 久藤和子

<あらすじ>
両親に早く死に別れた一高生の間貫一は、小さい頃から親戚の鴫沢家に引き取られ、一人娘の鴫沢宮とは兄妹のように育てられた。そして、将来二人は結婚する約束をしていた。ところが、下谷に本店のある富山銀行の息子富山唯継が、カルタ会の席で宮を見初め、嫁に欲しいと申し込んできた。「結婚は愛です、愛情だけが二人を結びつけるのです」という富山の甘い言葉に、宮は思わず結婚を承諾するのであった。宮に裏切られた貫一は、熱海の海岸で「宮さん、僕は今宵限り、非人間になるよ」という言葉を残し、宮の前から姿を消すのであった。
それから四年、貫一は高利貸し鰐淵の手代になっていた。同業の高利貸し赤樫満枝は、貧しさのあまり親子程も年の違う老金貸しの妻になった女だが、金の為になくしてしまった青春時代を取り戻すかのように、貫一に言い寄ってくる。一方、宮は富山と結婚はしたものの、夢見ていた結婚生活とは全くかけ離れた現実に、悲嘆のうち、気が狂ってしまう…。

公演詳細

劇団新派公式HP


 
オケピ取材班:mamiko(文/撮影)  監修:おけぴ管理人

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