2012年9月1日(土)17:00
ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」ゲネプロレポ
なんて甘酸っぱいロマンス!
出演は井上芳雄さんと坂本真綾さんの二人だけですが
別部屋同時進行的展開で、お二人ほぼ出ずっぱりです!
孤児院育ちの少女ジルーシャは孤児院の理事の一人から
匿名で大学進学の学費・生活費援助の申し出を受けます。
その条件は、
“毎月その人物に手紙を書くこと。
そして、その人物からの返事を求めてはならない。”
匿名の支援者は、若き資産家ジャーヴィス。
物語は原作小説同様、ジルーシャが綴る手紙で紡がれていきます。
ジルーシャが手紙を書きながら、ジャーヴィスがその手紙を読みながら
それぞれの揺れ動く気持ちを表現していくのですのですが、
単に読んでるという感じではなく、
二人芝居ならではの会話のテンポ感がとっても楽しいのです!
ジャーヴィスのことをお爺ちゃんと思っているジルーシャ。
手紙だからおこるタイムラグ。
手紙だから仕掛けられるイタズラ。
一方通行。
甘酸っぱい思い。
ほんとに胸がキュンキュンしますよ!!
井上芳雄さん演じるジャーヴィスは名家の生まれでお金持ち、
でもちょっと偏屈な男性。
支援者ダディとしての客観的な顔や、ジルーシャに恋をして一喜一憂する様々な顔、
大人の男性と少年を行ったり来たりするようにどんどん変化していく表情や、
抑えきれない感情をなんとかなだめようとする動きがなんとも楽しく、
そして可愛い!!井上芳雄さん!
制作発表でご本人も仰っていた通り、シリアスでヘヴィな作品が続いた2012年、
ハッピーミュージカル!!な井上芳雄さんも素敵です♪♪
聡明で希望に溢れた少女ジルーシャを演じるのは坂本真綾さん。
声の表現力、とりわけ思春期の女の子の気持ちのアップダウンの激しさや、
プライドの奥にある孤児であることの影などとても繊細な役作り!
物語が進むにしたがって、少女から女性になりどんどん魅力的になっていきます。
思いのたけを歌うナンバーでは、よく通る切ない歌声に涙!!
手紙でダディとジャービー坊ちゃま(!!)を翻弄していくのには
笑わずにはいられないです!
お二人はほぼ出ずっぱりで、大きな場面転換はないですが、
小道具の移動や照明で時や場所の変化を見せます。
特に光の射し込み方に、ジョンケアードさんの演出の魅力を感じました。
そして箱から取り出される様々なもの、
たまにびっくりするようなところから出る手紙!
沢山の箱が宝箱で、まるで宝探しのようなワクワク感があります。
そしてやはり物語のキーは“一方通行の手紙”。
一通の手紙を交互に読み進めていくシーンなどで、
ジャーヴィスのリアクションが本当にコミカルで可愛いのです。
自分で決めたルールに縛られ、実際にジャーヴィスとして対面しても名乗ることも出来ない。
ダディにだけ打ち明ける気持ちを綴る手紙を読んでいいものか。
ダディとジャーヴィス、二つの人格を持つ葛藤。
このジャーヴィスの視点というのは二人ミュージカルならでは!!
お互いに言えない秘密を一つずつもって、
近づきたいのに、秘密のために平行線に戻ってしまうもどかしさ。
そんな恋のもどかしさも、二人のやり取りを見ていると、
キュンキュンする甘酸っぱさになり、
そんな末の文句なしのあの結末。
胸がくすぐられるような気持ちよさです♪
(管理人的にはジルーシャの大学卒業後の行動に思い切りぐっときました)
甘酸っぱい恋とともに、当時の女性の自立や権利、孤児院の環境など
時代を反映させた話題も盛り込まれており、
一人の女性の成長を描いた側面が作品をより上質なものにしています。
二人の歌声も、自分の思いを確認していくように歌われるナンバーが多く、
耳と心に気持ちよく響いてきます♪
原作ファンの皆さんには小説の中から飛び出したかのような二人に
懐かしさと初めて出会った時のトキメキを思い起こしていただき、
初めてこの物語に触れる方には上品でさわやかなラブストーリーに
胸躍らせていただきたい素敵な作品です♪オススメっ!!!
<公演情報>
2012年9月2日~9月19日 シアタークリエ
9月22日 新潟公演 りゅーとぴあ
9月26日 大分公演 iichiko総合文化センター
9月28,29日 大阪公演 森ノ宮ピロティホール
10月3日 福岡市民会館
公演HP
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