2019年の『レ・ミゼラブル』がいよいよ本格始動です!プリンシパルキャスト、アンサンブルキャストが揃い、新キャストによる歌唱披露や会見が行われた製作発表の様子をレポートいたします。
みなさんの力強い意気込みに心躍り、フレッシュキャストによる歌唱披露に期待高まるのはもちろんのこと、やはりレミゼの製作発表の醍醐味は、下のお写真に象徴される大カンパニーの迫力であることを再認識!ご出演者一人ひとりの力、スタッフの、そして観客の力が合わさって、東京、名古屋、大阪、福岡、北海道へと旅を続ける2019年のレミゼの始まりのときです。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』(通称レミゼ)、原作は、フランスの文豪ヴィクトル・ユゴーによる大河小説。自身の体験を基に、 19世紀初頭の動乱期のフランスを舞台に、社会情勢や民衆の生活を克明に描く原作のエッセンスを余すところなく注ぎ込んだミュージカル『レ・ミゼラブル』は、1987年の日本初演以来、熱狂的な支持を集めています。2017年には、日本初演30周年記念公演が大盛況のうちに幕を閉じ、普遍的な魅力をもち、なおかつ進化し続ける作品であることを強く印象づけました。
動乱の時代を生きた民衆の物語であり、ジャン・バルジャンという一人の男の人生の物語でもあるレミゼ。 まずは、ジャン・バルジャン役のみなさんが大切にされていること、本作がこれほどまでに深く愛され、支持され続けるのかについてのコメントをご紹介。
【レミゼが愛されるわけ】
佐藤隆紀さん)
僕なりに大切に思っているのは「葛藤」です。良心との間で揺れ動く、それは人間誰しもがもっているもの。バルジャンが葛藤し、苦しんでいる部分もしっかりと伝わるように表現したいと思います。
愛される理由は、見る人それぞれに主題があるから。祈りの気持ちを感じたり、人が変わっていく姿を見て、自分も変われるのかもしれないと思えたりするのではないでしょうか。パワーを感じる作品、その大きさが魅力だと思います。
吉原光夫さん)
バルジャンを演じるときに大切にしようと思っているのは「普通の人」であるということ。これは2011年に初めてこの役を演じたときから変わっていません。そして、『レ・ミゼラブル』は、なにか天命が下った、神に近い人間が旅をする物語ではなく、普通の男に起こった物語。普通の男が、苦しい人生の中で、正しい人になろうとした話でもあります。 描かれているのはシンプルなこと。葛藤してきた人が、人生という長い旅の最期に神様のおそばにいるということ、愛するということを知るのです。
バルジャンは最期まで、神に「なぜ」と問いかけながら、さきほど佐藤くんが言った「葛藤」をしながら、生き抜いてきた普通の人。だからこそ見ている人の心に届くものがあるのでしょう。バルジャンを演じるときには、人間が持つ「黒」であったり、「白」であったり、「グレー」である部分を決して手離さないように心掛けています。
本作が愛される理由は、超簡単で、「この世に貧困や飢え、苦しみがある限りは、人々に読み続けられるだろう」というユゴー言葉のなかにその答えがあります。まさに(今、世の中を見渡しても)それがビンゴ!で当てはまるのです。豊かにみえる日本でも、さまざまな苦しみを抱えている人がいて、原作小説を手にしたとき、劇場で本作を見たときに、明日を生きるエネルギーを受け取るのではないでしょうか。
福井晶一さん)
ジャン・バルジャンという人物は、まるで聖人の様に捉えられているところがありますが、僕自身は、今回、「弱さ」のほうからフォーカスを当てて役を生きたいと思っています。光夫が言ったように、彼は「普通の人間」。愛を知らなかった人間が、愛を与えられ、愛を与えていくプロセスを大切にしたいと思います。そして、その間、ずっと迷いがある。自分自身が名前を偽って生きていくことにも、本当に正しいことなのか。それを自問自答しながらも生き抜いていく。その姿をしっかりと表現したいと思います。
愛される理由、二人がすでに話してくれていますが、もうひとつは音楽の力、これは圧倒的な力です。そして、たくさんの魅力的なキャラクターが登場し、人生の節々で見える景色が変わる。いろんな愛の形が描かれているために幅広い世代の心を打つと感じています。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人