ニューヨーク郊外の閑静な住宅街に暮らすベッカとハウイー夫妻を軸に、幸せな日常と未来を突然奪われながらも、深い悲しみから一歩を踏み出そうとする家族を描いた、舞台『ラビット・ホール』。2月23日にKAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオにて開幕しました。
演出の小山ゆうなさん、ベッカ役の小島聖さん、ハウイー役の田代万里生さんの初日コメントが届きました。舞台写真(撮影:田中亜紀)とともにご紹介いたします。
田代万里生さんインタビューはこちらからベッカ役:小島聖さん
ハウイー役:田代万里生さん
ベッカの妹イジー役:占部房子さん
ジェイソン役:新原泰佑さん
ベッカとイジーの母ナット役:木野花さん
『ラビット・ホール』初日コメント【演出:小山ゆうなさん】
この状況の中、お客様と共に初日を迎える事ができ、
満席の客席を見ただけで、胸がいっぱいになりました。
ご観劇くださった皆様ありがとうございます。
『ラビット・ホール』は、とても悲しい出来事を抱えた家族とその出来事に関わる青年の話ですが、繊細に日常の会話の中のささやかな事の積み重ねで構築された戯曲です。
その繊細さを客席の皆様と共有し、お客様の呼吸や眼差し、存在によって作品の温度がより確かなものとなり、浮かび上がってきました。
出演者の皆は、初日終わってからも、演技についての議論を重ねていました。
毎公演新鮮な瞬間が生まれると思います。引き続き、無理ない範囲でご観劇いただき、作品を応援いただければ幸いです。
【ベッカ役:小島聖さん】
この作品は、非常に心に響くセリフが多く、そのセリフの言葉たちがその日の気持ちによって、心への刺さり方が毎回違います。なので毎日新鮮で発見が多いです。
俳優は 5 人だけですが、演出の小山さんが、それぞれが考えていることや感じていることを垣根なく話し合う時間を作りながら稽古を進めてくださったので、少しづつ日常会話や芝居について言葉を交わすことで皆さんとの距離感が縮まりだんだん家族のようになってきました。そういう舞台上以外での時間がやはりお芝居にも表れるものだと思うので、信じられる5人で良かったなと思っています。
幕が開いたことが本当にありがたいと思うのと同時に、千秋楽まで全員が健康でありますように、そして世の中も落ち着いていくことを願うばかりです。
【ハウイー役:田代万里生さん】
KAAT 神奈川芸術劇場の今年度のテーマは「冒(ぼう)」。そのメインシーズンの最後を飾る作品、『ラビット・ホール』が、ついに開幕致しました。僕らの日常には、変えることの出来ない苦しみや哀しみが沢山潜んでいます。人はその痛みとどう向き合い、どう前に進んでいくのか、僕自身もこの作品と向き合う度に、新たな気付きを得ています。
また今回の会場は<大スタジオ>という名称ですが、客席数は約200席ほど。役者は体にマイクを身に付けず演じています。生の舞台ならではの繊細な息づかいや感情の揺らぎを、是非体感して下さい。劇場でお待ちしております!
あらすじ
ニューヨーク郊外の閑静な住宅街に暮らすベッカとハウイー夫妻。
彼らは8カ月前、4歳だった一人息子のダニーを交通事故で失いました。ダニーとの思い出を大切にしながら前に進もうとする夫のハウイー。それに対し、妻のベッカは家の中にあるなき息子の面影に心乱されます。そのような時にベッカは、妹イジーから突然の妊娠報告を受け戸惑い、母のナットからは悲しみ方を窘められ、次第に周囲に強く当たっていきます。お互いに感じている痛みは同じはずなのに、夫婦・家族の関係は少しずつ綻び始めていました。
ある日、夫妻の家にダニーを車で轢いたジェイソンから手紙が届きます。会いたいというジェイソンの行動に動揺を隠せないハウイーですが、ベッカは彼に会うことを決意します。
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました