第24回読売演劇大賞『ジャージー・ボーイズ』が席巻!最優秀作品賞&最優秀男優賞のダブル受賞!

 第24回読売演劇大賞(読売新聞社主催、日本テレビ放送網後援)の贈賞式が、高円宮妃久子さまをお迎えし行われました。贈賞式では、受賞者による感動的なスピーチ、そして、その後、ミュージカルとして初めて最優秀作品賞に輝いた『ジャージー・ボーイズ』のパフォーマンスも披露。中川晃教さんの最優秀男優賞受賞、藤田俊太郎さんの優秀演出家賞と、まさに今年の読売演劇大賞をジャージー旋風が席巻しました。
 実直な思い、軽妙なウィット、それぞれ優れた表現者ゆえ、その個性溢れるスピーチの数々に、会場は笑いあり、涙ありの一夜限りの大変贅沢な劇場空間となりました。



最優秀男優賞
中川晃教(『ジャージー・ボーイズ』の演技)
「正に彼にしかできない奇跡のアプローチだ」
(選評より)


プレゼンターとして登場したのは、昨年度同賞受賞の片岡仁左衛門さん

「仁左衛門でございます。昨年は大賞という、大変栄誉ある賞をいただきました。ただ、今年はノミネートもされないという、大変、悔しい思いをしております(笑)。でも、さきほど控室で、受賞者の皆様から、本当に素晴らしい笑顔とエネルギーを頂戴いたしました。来年は、ぜひ、あちらに行きたいと思いますので、選考委員の皆さんぜひよろしくお願いいたします(笑)。受賞者のみなさん、おめでとうございます!!」



スピーチ:中川晃教さん



溢れる思いをかみしめるようにそこにたたずむ中川さん

「(大きく息を吸って)この『ジャージー・ボーイズ』というミュージカルに出会い、たくさんのことを経験し、そして、今、ここに立っています。かなりかいつまんでいうと、そんな感じです(笑)。
 私は、18歳でシンガーソングライターとしてデビューすることができました。そして、翌年、東宝のミュージカル『モーツァルト!』という作品で、杉村春子賞などたくさんの賞をいただくことができました。

 あれから15年、ずっと大切にしていることがあります。それは、芝居のクオリティと同じ、そのセンスを歌で表現できないだろうかということです。歌と芝居、ダンス、ほかにもさまざまな手法、表現でお客様に感動を届けていくミュージカル(俳優)は、なんて素晴らしい仕事なんだろう。その気持ちが、1作品毎に、やればやるだけ強くなってきました」



「そして、これまで私が出会ってきた方々、ともに作品を作ってきた仲間たち、そのみなさんに、とにかく感謝の気持ちでいっぱいです。30代で、この『ジャージー・ボーイズ』のフランキー・ヴァリという役に出会うことができました。役を手中に収めるためには、ヴァリの声、自分でも聞いたことのない自分の声が必要でした。そのために、楊淑美先生をはじめとする恩師の方々の力をお借りしました。そして、(この作品の本国のプロデューサーである)ボブ・ゴーディオさんからOKをいただいて、ようやくスタートしました。それが、初日の幕の開く1年以上前のことでした。

 自分がずっと心に持ち続けてきた、「歌で語る、芝居で歌う」ことを感じ続けた『ジャージー・ボーイズ』の公演は、劇場にまた足を運んで、あの感動、この喜びを得たいと思ってくださるお客様に盛り上げていただき、私たちも負けじと盛り上げた…。
 この男優賞よりも、ジャージーカンパニー全員でいただいた最優秀作品賞が、今、本当にうれしいです!




「最後に、一番に喜んでくれる、家族。(三浦)春馬くんも先ほどおっしゃっていましたが、家族がいなかったら、今の自分はいません。実は2年8か月一緒に過ごしてきたおばあちゃんに、この賞をいただいたことを…。生きているうちに見てもらえたら…という気持ちもありますが、でも、そういったひとつひとつの経験が、また再演に向かっていく原動力になることを、私は信じています」


「今後もミュージカル、エンターテインメントを最高のところまで持っていけるように、僕自身も頑張っていきたいと思います。みなさんも引き続き、応援をよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました!」



最優秀作品賞
『ジャージー・ボーイズ』(東宝/WOWOW)
「全てが一丸となった素晴らしい出来ばえで、ミュージカルとしては初の最優秀作品賞に輝く」
(選評より)



プレゼンターとして登場したのは、昨年度同賞受賞のケラリーノ・サンドロヴィッチさん


「なんかすみません、感動的なスピーチの後に、軽々しい人間が出てきてしまい(笑)。ちょっと感情移入しちゃいました。作品賞というのは、今、中川君が言ったように本当に、本当に、うれしい賞なんです。全員で喜びを分かち合える賞ですので。
 今日、アカデミー賞で『ラ・ラ・ランド』が作品賞と読み上げられて、そのスタッフが喜びに打ち震えてスピーチをしている最中に、実は、『ムーンライト』だったということがわかったということがありました。読売演劇賞は、現場発表ではないので、そういうことがなくていいですね(笑)。ここで実は…ということが起こったら、大変な混乱を招いたと思います。そういった意味でも、正しいシステムだと思います(笑)。みなさんおめでとうございます」



スピーチ:藤田俊太郎さん(演出)



ミュージカルが、はじめて最優秀作品賞をいただきました!ありがとうございます!

 まずは、感謝の言葉を伝えます。選考委員のみなさま、投票委員の皆様、作品を支持していただいたすべての皆様、カンパニーを代表して厚く御礼申し上げます」




「2年前、2015年に演出の依頼を受けてすぐに、師匠である蜷川幸雄さんに報告をしました。すると蜷川さんは、たくさんのことを話してくださいました。70年代以降、東宝との数々の仕事、商業演劇の演出、また、それによってご自分の劇団が解散したこと。そして、最後に「藤田、優秀な人たちと闘って来い。闘って、闘って、もしボロボロになったら、また俺のところに帰ってくればいいから」と言ってくださいました。

 もしかしたら、僕にはもう、帰るところはないかもしれませんが、(この現場で)僕が出会ったのは、日本のミュージカルを作ってきた人たちでした。60年代、『マイ・フェア・レディ』初演から、音楽を愛し、情熱や青春を捧げ、日本のミュージカルを愛してきた、たくさんの人たちでした。

 カタログ・ミュージカルと呼ばれる『ジャージー・ボーイズ』、僕はこの作品で、演出は蜷川さんの魂を引き継ぎ、作品は世界演劇の最前線に立つ、そんなミュージカルを作ろうと決意しました
 まぁ、あの、みなさんのおかげで、結構イイ線いけたんじゃないかと思ってます(笑)!」



「60年代の光と影、ベトナム戦争の虚と実、コーラスグループ“ザ・フォー・シーズンズ”を支えた聴衆、喜びながら突き動かされていく民衆。激動の60年代の時代の中で、時代の波にのまれ、闘い、足掻いていく4人の姿。昨年、シアタークリエでの上演で、僕たちはドキュメンタリーのようにカメラを使い、観客の姿を“観客の役”として舞台上に積み上げられたテレビにライブで映し、観客席と舞台上を一体化しました。そのことによって『ジャージー・ボーイズ』は時代を越えて、民衆の姿が、その日その日の観客ひとりひとりの姿となって描き出されていったと思います。

 これから日本版『ジャージー・ボーイズ』は再演、新しい出会いを重ね、テーマである終わらない青春の物語を描き続けていこうと思います。そのことが日本のミュージカルのさらなる発展の先駆けとなることを願っています」



「最後になりましたが、今この会場にはいない一人の方にメッセージを送り、挨拶を締めさせていただこうと思います。昨年の公演、全41回中、40回を支え、千穐楽の朝に急逝なさったミュージシャン、ホーンセクション、リードのクリストファー・ミエリさん。天国のクリスさんにこの喜びを報告し、分かち合いたいと思います。いつまでもいつまでもカンパニー一同、気持ちは一緒です。
 本日は誠にありがとうございました」



 各賞受賞者のスピーチは続報にて!

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