相葉裕樹さん デビュー15周年ロングインタビュー【前編】~『レ・ミゼラブル』、見える景色が変わった~

ミュージカル「ダンス・オブ・ヴァンパイア」おけぴ観劇会
2019年11月19(火)18:30@帝国劇城
二次先行・抽選エントリー受付中(締切7/21(日)23:59


 今年、デビュー15周年を迎える相葉裕樹さんにお話をうかがいました。現在公演中の『レ・ミゼラブル』について、自らのターニングポイント、これからについてなどたっぷりとお話いただきました。



相葉裕樹さん


【見える景色が変わった】


──はじめてアンジョルラス役を演じた2017年の『レ・ミゼラブル』公演のお話から。

 舞台・ミュージカルの仕事を本格的にはじめてから、帝国劇場の舞台に立つことを1つの目標にしてきました。うれしさはもちろんありましたが、いざその時が来て、それも『レ・ミゼラブル』という作品、当然それだけではありませんでした。ちょうど前回は1987年の日本初演から30周年の記念公演、僕は1987年生まれなので『レ・ミゼラブル』と同い年なんです。それだけの歴史があり、たくさんのファンの方に深く愛されている作品です。自分にアンジョルラスが務まるのだろうか…、正直に言うと怖かったです。稽古から大きなプレッシャーも感じていましたし、開幕の帝国劇場での公演中はずっと緊張していました。

──『レ・ミゼラブル』にはアンジョルラスと同年輩のマリウスという役も登場します。はじめからアンジョルラスを?



 はじめはマリウスも考えていました。というかむしろアンジョルラスよりマリウスでした(笑)。アンジョルラスは屈強で強いリーダーシップをもった男というイメージを持っていたので、どこかで「僕がアンジョルラス?」と思うところもありました。

 出演が発表された時も、「マリウスじゃないんだ」と言われることが多かったです。その時は、周りからもそう見えるんだなと思いましたが、実際に幕が開いてからは「アンジョルラス、合っているね!」と言っていただけることが多くなり、それは素直にうれしかったです。自分自身でも、アンジョルラスでよかったと思いました!

──凛々しい佇まい、伸びやかでスコーンと通る歌声…、「アンジョルラスだ!」と思いました。強い信念と儚さ、脆さが印象的なデビューでした。



 儚さを出そうと意識して演じてはいませんが、そう映るんですね。演じている時に僕の中にあるのは、とにかく革命に真っ直ぐひた向きにという思いだけです。ただ、今回は2017年とは見える景色が変わっています。ABCカフェでも、より広い視野で学生のみんなのこともしっかりと見られるようになれたことを演じながら感じています。それによって自分が受け取るもの、発するものも変わってきます。

──ご自身の変化を感じることができるのは再演ならではの経験ですね。そして、個々人の変化とともに今回は演出補も変わったということですが、それによる変化は。

 2017年の稽古では、「もっとパワー、エナジーを」ということを言われていました。それはそのまま僕が発するエナジー、つまりアンジョルラスとして板の上に立つにあたっての統率力や求心力が物足りないということだったのだと思います。今回の演出補クリス(クリストファー・キー氏)からは、そこについてはあまり言われることはなく、それよりも細かなニュアンスについてアドバイスをもらいました。例えば、エポニーヌの死の場面で歌うときに、「そこではもっと冷徹、クールでいてほしい」というような。



 ただ、それを踏まえてやってはいるものの、実際にその光景を目の当たりにすると感情的になってしまうこともあります。演出をつけられたから、何が何でもクールに徹する。それよりも、そこで起こることに着目し、自分の中でわき起こる感情を大切にすることが大事なのではないかと思っています。これはもちろん常に板の上でアンジョルラスを生きていることが前提ですが。だからこそ、僕らは毎回新鮮に取り組むことができ、お客様は何度観ても新しい発見があるのだと思います。

──その通りですね。私たちは、そこで起こること、それに対する正直な芝居に心を揺さぶられるのだと思います。感情表現という点では、全体的に自由度が増したというか、台詞のように発する場面が増えたような印象を受けます。

 確かに、感情の高ぶりによって叫んだり、部分的にはしゃべるような表現が多くなっているかもしれません。それでも「歌うように」と言われていないということは自由度が上がっているということなのでしょう。
 でも、その塩梅は難しいところでもあります。シンプルに音に乗せたほうが『レ・ミゼラブル』という世界観は作りやすい。「そこは歌ってほしいな」、これは長年ご覧になっている方ほどそう感じるのではないかと思います。当然、ミュージカルですので音楽の中で表現するのが正解なのかもしれない。一方で、その瞬間の生の感情を台詞のように表現することで伝わるものもある。その見極めは、カンパニー全体として本番を重ねながら突き詰めていくことになると思います。


【世界に自由を!】



──今年の相葉さんのアンジョルラス、ABCカフェをはじめとする学生たちとの場面でのリーダーらしさが一層増したことと「世界に自由を」が印象的です。

 それは2017年に50公演以上重ねた本番の経験があったからこその変化だと思います。本番で気づくこと、学ぶことが本当に多かったので。そこでアンジョルラスとしての土台ができたので、今年は選択肢が増えました。基本に立ち戻ることもできるし、新たなことに挑戦することもできる。こうしてまた公演を重ねることで、さらに選択肢が増えてきています。



 ABCカフェでは学生のみんなとのやり取りの中でどう振る舞うか、周りからもらうものが大きいです。アンサンブルキャストも組み合わせがシャッフルされているので、毎公演、顔ぶれも変われば発する言葉(ガヤ)も変わる。一度たりとも同じことはありません。アンジョルラスはみんなのエネルギーを受けたり、制したりしながら歌わなくてはならないので、公演ごとにどこからどんなエネルギーが飛んでくるのか、日々、メチャクチャ新鮮です(笑)。
 「世界に自由を」については、長い公演の中では、叫ぶようなときもあれば上げるときも下げるときもあります。僕が何よりも大事にしているのは、その瞬間の生の感情、その熱量だけは絶対に落とさないということです。

──上山竜治さん、そして今回から小野田龍之介さんが新キャストとして参加されています、トリプルキャストのお二人とは。



 新キャストの小野田さんの風格、素晴らしいですよね(笑)。トリプルキャストっていいですよ。ダブルだとどうしても意識してしまうのですが、3人になると「もう、これは好みでしょ」と思えるので過剰に意識せずにいられます。とくに今回は、あまりにも個性が違う3人ですし(笑)。稽古中は、3人いることで自分の番が来ないまま稽古出来ずに終わることもありましたが、ほかの人がやっているのを見ることでの発見もありました。3人のアンジョルラス、核となる部分の共通見解は持ちながら、それぞれの良さを出すことができればいいと思っています。

──ここからツアー公演が始まります。

 楽しみですね。東京公演って独特の緊張感があるんです。開幕地ということもあり、「さぁ、どんなアンジョルラスなんだ」という“目”も感じるというか。特に2017年は「しっかりとやり遂げなくては」「受け入れてもらえるのだろうか」と毎日オーディションに臨むような心境でした。もちろんお芝居に入ってしまえばそれどころではないのですが。

 ツアー公演は東京公演をやり遂げたという事実が少し自信にもなったのかな。少し緊張から解き放たれました。その土地の美味しいものを食べて、『レ・ミゼラブル』の公演をして、最高だ!と思えたんです。

──各地、美味しいものがいっぱいですからね!相葉さんはウェイトオーバーの心配はなさそうですし。

 むしろ落とさないようにキープするのが大変なんです。トレーニングしながらしっかりと食べて、(見た目も)アンジョルラスとしての威厳を保たないと!

──もう一つうかがいたいのは、今ではそう珍しいことではありませんが、2.5次元ミュージカル出身で帝国劇場の舞台に立つということ。我々もそういった括りで見てしまうことを反省しなくてはならないのかもしれませんが、なんて言うか、色眼鏡で見られると感じることはありましたか。



 確かにありますが、それはしょうがないことなのかな。僕はテニミュ(ミュージカル『テニスの王子様』)出身で、特撮モノ(『侍戦隊シンケンジャー』)もやっていました。それは僕の誇り、宝物です。でも、やっぱりお芝居・舞台をずっとやってこられた演劇人、演劇ファンの方からは最初はそういう目で見られました。ただ、少しずつですが目が変わってきたことも感じています。そのきっかけの1つが『レ・ミゼラブル』です。認めてもらうには実力をつけ、表現者として役や作品をどう届けるかにかかっているということだと思います。





 その歩みの中で蓄積した実力を自信に変えて、さらに歩みを進める相葉さん。9月まで続く『レ・ミゼラブル』でのアンジョルラス役もどんな深化・進化をするのか楽しみですね。ここまではレミゼについてたっぷりお話をうかがいましたが、後編では、15年周年を迎えた相葉さんのこれまでとこれからについてうかがいます。お楽しみに〜!


インタビュー後編へ


【相葉裕樹さん 今後の出演情報】


ミュージカル『レ・ミゼラブル』アンジョルラス役
≪2019年全国ツアー公演≫
【名古屋公演】6月7日(金)~25日(火)@御園座
【大阪公演】7月3日(水)~7月20日(土)@梅田芸術劇場メインホール
【福岡公演】7月29日(月)~8月26日(月)@博多座
【北海道公演】9月10日(火)~17日(火)@札幌文化芸術劇場hitaru

公演HP


ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』アルフレート役(Wキャスト)
2019年11月5日(火)~27日(水)@帝国劇場

公演HP


「相葉裕樹 15th Anniversary ~ファンイベント2019~」
■東京
2019年6月22日(土)@シダックス カルチャーホール
■上海
2019年6月29日(土)@バンダイナムコ上海文化センター 未来劇場
■大阪
2019年7月19日(金)20日(土)@Soap opera classics-Umeda-


「伊礼彼方の部屋vol.4~相葉裕樹×伊礼彼方~in 博多」
2019年8月18日(日) Open16:30/Start17:00 @博多座 エントランス

おけぴ取材班:chiaki(インタビュー・文)おけぴ管理人:撮影

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