2020年4月に予定されていた公演の中止を乗り越え、2022年9月にシアタークリエにて開幕する
ミュージカル『モダン・ミリー』。2年越しの公演には、主人公ミリー役の朝夏まなとさんをはじめとする主要キャストが再集結!
主要キャスト&演出の小林香さんがご登壇された笑顔あふれる製作発表会見をレポートいたします。
ジュリー・アンドリュース主演のミュージカル映画「モダン・ミリー」の公開(1967年)から約30年の後、楽曲をほぼ一新して舞台化された本作。2002年にブロードウェイにて上演されると、その年のトニー賞作品賞ほか5部門を受賞する大ヒット作品となりました。1920年代のニューヨークを舞台に、仕事と恋に生きる主人公ミリーの奮闘と成長の物語を歌、ダンス、芝居で届けるミュージカル『モダン・ミリー』。
あらすじ
1920年代のニューヨーク。「大切なのはロマンスよりも理性!」をモットーに、モダンガールに憧れて田舎町から出てきたミリー(朝夏まなと)は、下宿先で知り合ったドロシー(実咲凜音)や偶然の出会いを繰り返すジミー(中河内雅貴)と仲良くなったり、玉の輿を狙って就職した会社の社長・グレイドン(廣瀬友祐)に猛アプローチをかけたり、世界的歌手マジー(保坂知寿)のパーティーに参加したりと新しい生活を楽しむ。
そんな時、ドロシーが行方不明に!下宿先の女主人ミセス・ミアーズ(一路真輝)が、下宿にきた身寄りのない女性たちを誘拐していると知ったミリーたちは、ドロシー救出作戦を決行!果たしてミリーたちの運命は⁉
【ご挨拶】
<小林香さん(翻訳・演出)> 政府より初めての緊急事態宣言が発出された2020年4月7日。その日はまさに『モダン・ミリー』の初日が予定されていた日でした。その少し前、劇場には舞台衣裳やセットが揃い、照明も出来上がり、あとは役者を迎え舞台稽古をして初日を迎えるだけ、という状態での突然の公演中止。みんなとさよならを言うこともままならない中での別れでした。その時、「これは中止ではなく大幅な延期です。いつか必ず再会しようね。それまでの時間を大切に使って、なぜ演劇をやるのか、ミュージカルをやるのかを考えることで、再会したときはお互いにもっと素晴らしい作り手となっているはずだから、その時を楽しみにしましょう」ということを手紙に綴りました。
2年経ち、こうして同じキャストでもう一度『モダン・ミリー』の世界を紡ぎ、ついにお客様の元へお届けできることを本当に嬉しく思っています。私自身がそうであったように、2年間、いろんな経験をして、いろんな思いをして、いろんなことを考えたみんなで再びこの舞台に向き合うのですから、絶対に2年前より面白くしてやる!という意気込んでいます。とても楽しくて明るいミュージカルはコロナで疲れた心を癒すのに持ってこいの作品になるでしょう。そのために、より一層励んで参ります。
<朝夏まなとさん:ミリー・ディルモント役> 2年前の4月、いよいよ劇場入りという時に中止となりました。やるせない、切ない、でも仕方ない……なんとも救いようのない思いでいっぱいでしたが、香さんの「大幅な延期」という言葉を信じました。こうして2年後に公演できることを嬉しく思います。再び挑戦するにあたり、前回は必死で、役を作っていく中でまだまだ腑に落ちていなかった部分もあったので、この2年で携わった作品での経験を活かしてそこもしっかりと作っていきたいと思います。
今日、久しぶりにみなさんにお会いしてとても懐かしい気持ちになりました。面白くて楽しくてとっても素敵なこのメンバーで作品を作ることが楽しみです。
<中河内雅貴さん:ジミー・スミス役> 2年前は本当に心が苦しかった。でも、辛いときでも、ハッピーなこの作品の楽曲を聴くことで少し心が救われる自分がいました。このミュージカルを観てくださるお客様の心もハッピーにしてくれる作品なので、ぜひ劇場に足を運んで「生=ライブ」でそれを体感してください。明日への活力、この作品がそれを届けてくれます。
<実咲凜音さん:ミス・ドロシー・ブラウン役> 今回、まず確認したのが「ほかのキャストの方は変わらないですか」ということです。今日こうして久しぶりにみなさんと再会できたこと、2年越しとなりますがこの作品をお客様にお届けできることがただただ嬉しいです。ハッピーになれる作品です。たくさんの方に観に来ていただけると嬉しいです。
<廣瀬友祐さん:トレヴァー・グレイドン役> 良いのか悪いのか、この作品の記憶がまったくなくて。昨日台本を読み直したのですが、やっぱり記憶はありませんでした(笑)。劇場で、観に来てくださるお客様とこの作品を共有できる日が来ることを信じて、素敵な作品になるように努力していきます。
<保坂知寿さん:マジー・ヴァン・ホスミア役> 実は私も……、廣瀬くんよりは覚えているかと思うのですが、先ほど人間関係などを確認してしまいました(笑)。ただ、なんだかうっすらとした記憶ながら、すごく温かくて明るいものだったという体感は自分の中に残っていて、再びその世界に行けるということを嬉しく思っています。まだまだ油断のできない状況ではありますが、私たちがつくる『モダン・ミリー』の世界を楽しんでいただきたいと思っています。意外と忘れているので、新鮮な気持ちで取り組めるのかな(笑)。そして2年の時間がみんなにいろんな作用をしていると思います。また新しい『モダン・ミリー』をお届けできたらと思います。
<一路真輝さん:ミセス・ミアーズ役> コロナ禍での初めての休館、中止という経験でしたので、あの時のショックは今もかなり鮮明に記憶しています。朝夏さんのタップ、廣瀬くんの不思議な役作り、保坂さんのかわいらしい歩き方……私はすべて覚えています(笑)。そんな記憶の中にあるみなさんの表現に負けないように自分の役も深く掘り下げたいと思っています。私の役は、ハッピーミュージカルの中で唯一悪い方に“クセ”のある人物。そこをいかにもな“ドロッ”としたものではなく、この役柄であってもなにか一つでも皆様の心に良いものが残るように作っていければと思っています。2年経っても忘れられないくらい素晴らしいミュージカルなので(笑)、一人でも多くの方にご覧いただきたいと思います。
【作品の魅力、見どころ】
小林さん: このミュージカルはブロードウェイ・ミュージカルの楽しさが詰まった“魅力の金太郎飴”のような作品です。華やかなショーアップ、切ない恋のアリア、コミカルなシーンもふんだんにあります。それと同時に、1922年、今からちょうど100年前のお話なのですが、その時代ではとても先進的な考えを持った、朝夏さん演じるミリーが田舎からNYにやってきて、いろんな人と巡り会うことによってさらに成長していく様を描いたメッセージ性もある作品です。
見どころは、この芸達者な俳優たちが真剣に全力でお芝居をすることで起きる笑い。そこを楽しみにしていただければ。あとは一路真輝さん、保坂知寿さん、二大ベテラン女優のぶつかり合いですね。なんだか、もう、すごいんです。年末に見たい感じです(笑)。そして、今日はすごく声の小さい廣瀬くんがものすごく大きな声で台詞をおっしゃるんですよ。その役作りが私は大好き。みんな褒めたいのですが時間が……本当にみんな素晴らしいです!
朝夏さん: やはりこの作品の魅力のひとつはタップ。タップシーンがふんだんにある作品はなかなか最近のミュージカルではないと思うので、そこが見どころです。中河内さんとも、実咲さんとも踏みますし、タイプライターを打つのシーンでは大人数でタップを踏むので、観ているみなさんはきっとスカッとすると思います。
中河内さん: 本当にみなさんクセの強い役で、クセがないのは僕だけ。今回は僕もコメディ要素をもうちょっと増やす役作りをしようと思っています。そう思うのは、廣瀬の役がとにかくおかしいんですよ(笑)。メチャクチャ真面目に誰もが笑ってしまう役作りをしている。それにインスピレーションをもらって、僕も変えていこうかなと企んでいます。その結果、どうなるかはわかりませんが(笑)。見どころは……歌もダンスも素敵で、全部です。
実咲さん: 『モダン・ミリー』の世界へ引き込んでくれるオーバーチュアも素敵ですし、あの時代のファッション、お衣裳もモダンでスタイリッシュ、目でも耳でも楽しめるプロローグが好きです。もうひとつ!初めのシーンで朝夏さんと一緒に歌うのですが、宝塚時代は男役の朝夏さんの相手役を務めていましたが、今回はお友達の役なので、手の出し方ひとつをとっても違うのが新鮮でした。お客様にも新鮮に映るのではないかと思います。
廣瀬さん: 一路さんには「不思議な役作り」、小林さんには「声が大きい」、マサくん(中河内さん)には「とにかくおかしい」と言われ、今、自分の役作りに恐怖を感じています (笑)。 これからの稽古がちょっと怖いですが一生懸命頑張ります。見どころは……記憶の奥底をたどり、雅くん演じるジミーが、苦し紛れに入絵加奈子さん演じるミス・フラナリーの肘をほめるところが大好きだったことを、今、思い出しました。是非、そこに注目していただきたいと思います(笑)。
保坂さん: 物語の主軸となる純粋なラブストーリー、ミリーとジミーが窓の外で歌うシーンが思い浮かびました。そんな二人を応援したいなと思いながら見ていたことを思い出しました。
一路さん: 見どころはみなさんが挙げてくださった通り、本当にどこを切り取っても面白い作品です。私が願うことは、この作品が上演されるころには「客席でお声を出さないように」というアナウンスがなくなっていることです。今日は私たち自らがハードルをメチャクチャ上げていますが、本当に面白いんです! マスクをしてでも、オホホでもいいので、笑ってください、それが私たちの活力になります。劇場が心の底から笑っていただける場所に戻ることを祈っています。
最後に朝夏さんよりメッセージ:
いよいよ始まる!と気持ちを新たにしています。いろんな思いが詰まった2022年版の『モダン・ミリー』を劇場でお客様と共有し、一緒にこの作品を作っていければと思っております。明日への活力、心を解放し楽しく笑える作品ですので、劇場にお越しください。お待ちしています!
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文)監修:おけぴ管理人