あるユダヤ人一族の物語を、芸術監督の小川絵梨子が演出。
ストッパード自身の自伝的要素を含む超大作を日本初演で。撮影:宮川舞子
英国の劇作家
トム・ストッパードの最新作『レオポルトシュタット』を日本初演が開幕いたしました。『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』『コースト・オブ・ユートピア』『アルカディア』など、日本でもこれまで多くの作品が上演されているストッパードが
「最後の作品になるかもしれない」としたことから、その上演前より大きな話題を呼び、2020年1月にロンドンで世界初演を迎えると瞬く間に絶賛されました。20年のオリヴィエ賞作品賞を受賞し、ブロードウェイでの上演も始まった本作で描かれているのは、
あるユダヤ人一族の物語。戦争、革命、貧困、ナチスの支配、そしてホロコーストに直面した20世紀前半の激動のオーストリアに生きた一族の一大叙事詩は、50代で初めて自らのユダヤ人としてのルーツを知ったという
ストッパードの自伝的要素も含まれているといわれています。
翻訳に超大作『コースト・オブ・ユートピア』を手掛けた
広田敦郎さんを迎え、『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』『かもめ』『ほんとうのハウンド警部』などこれまで数々のストッパード作品に演出者・翻訳者として携わってきた演劇芸術監督の
小川絵梨子さんが演出を手掛けます。この大作をおよそ30名のキャストと共にお届けします。
いよいよ開幕した『レオポルトシュタット』より、演出・小川絵梨子さん、主演・浜中文一さんからのコメントが到着!
演出:小川絵梨子さんコメント
無事、開幕を迎えることができたことを大変に嬉しく思っております。
この作品は、20世紀の幕開けから第二次世界大戦後までを舞台にしています。しかし、決して過去や歴史だけでなく、「今」についての物語だと思っております。「今」は常に過去や歴史と地続きであり、私たちの人生も歴史の一部として存在しています。現代でも繰り返し起き続ける凄惨で不合理な出来事も、遠くにあるものではなく、私たちの一部と言えるのだと思います。
本作を楽しんでいただけましたら幸いです。
主演:浜中文一さんコメント
差別や迫害、戦争、貧困の時代といった重いテーマもありますが、あくまで家族の物語です。家族とジョークを言い合うなど楽しい時間もあります。家族のつながりや次の世代へのバトンタッチなど、お客様がいろんな視点から何かを感じ取っていただける作品になっていると思います。ぜひ観に来ていただけると嬉しいです。
『レオポルトシュタット』おけぴ稽古場レポートはこちらからあらすじ
20世紀初頭のウィーン。レオポルトシュタットは古くて過密なユダヤ人居住区だった。その一方で、キリスト教に改宗し、カトリック信者の妻を持つヘルマン・メルツはそこから一歩抜け出していた。街の瀟洒な地区に居を構えるメルツ家に集った一族は、クリスマスツリーを飾り付け、過越祭を祝う。ユダヤ人とカトリックが同じテーブルを囲み、実業家と学者が語らうメルツ家は、ヘルマンがユダヤ人ながらも手に入れた成功を象徴していた。しかし、オーストリアが激動の時代に突入していくと共にメルツ家の幸せも翳りを帯び始める。大切なものを奪われていく中で、ユダヤ人として生きることがどういうことであるかを一族は突き付けられる......
【新国立劇場公式YouTubeチャンネルにて稽古場&演出小川絵梨子コメント映像公開中】
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました