2023年5月24日、中野サンプラザで一組のコーラスグループが誕生(デビュー)しました!彼らの名は「JBB」、メンバーは中川晃教さん、藤岡正明さん、東啓介さん、大山真志さんの4人。
JBB(東啓介さん、中川晃教さん、藤岡正明さん、大山真志さん)
この顔ぶれ、ご存じの通りその出会いはミュージカル『ジャージー・ボーイズ』! チームBlackとして劇中でザ・フォーシーズンズのドラマを生きた4人が疑似コーラスグループJBBとして再集結。デビューコンサートの舞台となるのは、この度50年の歴史に幕を下ろす中野サンプラザにて開催中の「さよなら中野サンプラザ音楽祭」! アーティスト、観客、双方に愛された音楽の“聖地”の舞台に立つJBB!まずそれだけで胸がいっぱいに。
おけぴではリハーサル段階から取材の機会を得て、それが「思い出コンサート」にとどまらず、確固たる信念を持ったJBB結成コンサートであることを確信。(
JBB座談会レポート)
迎えたコンサート当日。客席からの景色は……劇場とはまた違う広いステージ、空間が目の前に広がります!そして目の前に現れる4人のシルエット、姿に、客席の熱気も一気に最高潮に。デビューコンサートとはいえ、やっぱり心に沸き起こるのは“再会の喜び”です。
まずはおなじみの『ジャージー・ボーイズ』メドレーからスタートです。
観客の手にはペンライト、コンサートグッズのものもあれば(大好評で早々にソルドアウト)、これまでの『ジャージー・ボーイズ』公演のグッズのものもあります。さらに客席をじっと見つめる中川さんから「量販店でお買い求めになったものをもってきてくださった方もいらっしゃるのかな」というコメントへは、間髪入れずメンバーから「そこはいいでしょ!」のツッコミ……(笑)。そんなさまざまなペンライトが揺れる客席もJBBの歩みを象徴するようなとっても素敵な光景。
いつから? なにから? 誰から?
JBBと観客の出会いもそれぞれでしょう。それをすべて束ねて最高の時へいざなうのがJBBの歌声、ハーモニーなのです。
また、コンサート冒頭では“デビュー”という言葉の響きに照れや戸惑いを見せるJBBメンバーでしたが、この日、会場にいたみんなが証人です!これはまごうことなきJBBデビューコンサートなのです。
『ジャージー・ボーイズ』からの楽曲が終わると、メンバーには高揚感とともに緊張感が漂います。「ここまではいいんです。問題はここからなんですよ(笑)」、いよいよ初披露の楽曲へ!
といっても、「君の瞳に恋してる」(ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」より)についても、劇中ではソロになったフランキー・ヴァリが歌う楽曲をJBBの4人で歌う「君の瞳~」にアレンジされたもの。ハーモニーの力、JBBの挑戦はすでに始まっていたのです。
そしてまず披露されたのは、「銀色の道」日本が誇る男性コーラスグループのダークダックスの名曲です。歌詞を丁寧に紡ぎ、ハーモニーが生み出す緩急に乗せ客席に届けられる。心に沁みるのです。静の中にある繊細な動を感じます。
中川晃教さん
そこからも「Stand by me」は歌い出しの藤岡さんの歌声に心つかまれ、「Route 66」の女声パートも伸びやかに艶やかに歌う中川さんに魅了され、「明日があるさ」で東さんのハッピーな笑顔と歌声にニコニコ。東さんの歌声、コーラスのときの強さとソロパートの色気のギャップ!多彩です。そして「黄昏のビギン」に続く、「ACT SHOW」!大山さんがリハーサルからハマりにハマったという一曲。メチャメチャカッコイイ一曲に仕上がっております。カタカナで書かれたという歌詞、アクトショー=握手しようという言葉遊びがあることから、握手のようなアクションも!歌唱後に見せた4人の達成感、客席の盛り上がり、そして大山さんの飛び切りの笑顔は忘れられない記憶として刻まれました。大山さんのパンチのきいた張りのある歌声とググっと深まった低音の響きは随所で楽曲を輝かせます。
こうして一つの山場を迎えたかと思われたJBBコンサートですが、このピークがずっと続くのがJBBのすごいところ。「September」の心地よさ、なつかしさに浸ったあとは、あの印象的なイントロで始まる「Twilight Zone」です。英語詞の語りから始まり(大山さん!!)、中川さんの高精度ながら独特の揺らぎもある鉄板リードボーカル、重なり合う歌声……楽曲が作り出す世界へ引きずり込まれてききました。この一曲だけでまるで“ひとつの作品”、終わった瞬間はすごすぎて“無”になるような感覚、そしてひと呼吸おいて拍手喝采!その歌声のみならず、緻密なコーラスワークを作り上げた藤岡さんの才能とみなさんの歌唱力に唸りました。
続いてはガラリと雰囲気が変わり、「グッド・ナイト・ベイビー」「You Are Everything」「夢で逢えたら」をしっとりと。大人の魅力が溢れるひととき。そして待ってましたの「Habit」!ここではまた違う意味での山場が! まず歌詞のメロディへの乗せ方がとても「今!」。加えて、「振り」。振りをつけるのかつけないのか……ワクワクドキドキしていましたが、やっぱり期待を裏切らないのがJBB。踊りは何点でしたか?なんて話題も飛び出しましたが、それはもう数字では表せない!会場の盛り上がりがその答えです♪
東啓介さん
こうして、あっという間にコンサートは終盤に差し掛かります。ここまでを振り返っても、そしてこの後に続く楽曲も、すべての楽曲が4人の歌声で届けられます。これだけの歌い手がいらっしゃるので、ここはソロコーナーということも考えられるのですが、徹底的にJBBの4人のハーモニーで楽曲を構成する。その強い意志を感じます。コーラスの王道の楽曲もあれば、本来はコーラスを前提とされていない楽曲もある。それを藤岡さんによるアレンジやコーラスでJBBのハーモニーとして完成させる。互いを理解した仲間だからこそ実現したコンサートであることを実感。
大山真志さん
そんなJBBが本編の最後の楽曲に選んだのは「Who Loves You」(ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」より)。ここでこの曲を!終わらない青春、胸に熱いものがこみ上げてきます。
バシッと“あのポーズ”で決まった「Who Loves You」、しかしながら熱気冷めやらぬ客席、アンコールもたっぷりと!!
「Yesterday」は藤岡さんのギターで。4人で奏でる音楽。シンプルであることがこんなにも豊かであることを届け、また新しい一面を見せるJBB。続く「恋のダイヤル6700」ではここまで歌ってきて、なおも高音の輝きが増していく中川さんの突き抜ける歌声に聞きほれ、今度は本当のラスト一曲に選んだのは「夜空ノムコウ」でした。なんでしょう、この余韻は。まさに古今東西の名曲をJBB流のアレンジで届けるコンサートは終わってしまいましたが、これはJBBの“デビュー”コンサート。再会のときを、切に切に願います!
藤岡正明さん
こうして楽曲を中心に振り返ってまいりましたが、MCもJBB流!
「4人でコンサートしたいよね」と話した『ジャージー・ボーイズ』千穐楽の2幕直前のやり取り、東さんからは「僕はその場にいなくて、声かけてもらっていないんですよね」という衝撃の告白。藤岡さんは今日のMCではヤンチャな面を出さずにいこうと思ったのに…という意気込みも、途中でやっぱり路線変更(笑)、それに対して中川さんの公開ダメ出し。お互いに絶大な信頼があるからこその歯に衣着せぬやり取りです。さらに、もし中川さん、藤岡さん、大山さんの3人だったらという仮定の話で思わず大山さんがつぶやいた「それは受け止めきれない」というひと言からのひと騒動まで、本当に自由な皆さん。変幻自在で天真爛漫な藤岡さん、色気のある東さん、低音の響き深まる大山さん、どこまでも伸びやかで艶やかな中川さん、とても個性的な4人のメンバー、そしてその歌声だからこそ奏でられるハーモニー。互いを認め合い、高め合い、信じることでさらなる高みを目指すJBBからこれからも目が離せません。
★日テレプラス「JBBコンサート2023」放送決定★
2023年7月29日 19:00〜
番組情報はこちらから
舞台写真)撮影:杉本理/宮川舞子
おけぴ取材班:chiaki(取材・文) 監修:おけぴ管理人