★記事後半に、感想、観劇レポを追記しました12/14★ 新国立劇場の演劇『ピーター&ザ・スターキャッチャー』は、2回のプレビュー公演を経て、12月10日(木)に初日を迎えました。
左から)宮崎吐夢、櫻井章喜、入野自由、豊原江理佳、新名基浩、内田健司
左から)入野自由、豊原江理佳
こどももおとなも楽しめる企画第3弾は、『ピーター・パン』の前日譚を描く音楽劇!
本作は2004年に米国で出版、日本でも『ピーターと星の守護団』として知られている小説を基に劇作家リック・エリスが戯曲化した作品です。有名なあの『ピーター・パン』の前日譚として、ある孤児の「少年」が、海賊たちと戦う冒険を繰り広げ、どうして大人にならない永遠の少年「ピーター・パン」になったかが描かれています。新国立劇場で2014年に上演された『ご臨終』を演出し、近年目覚ましい活躍のノゾエ征爾を演出に迎え、日本初演でお届けします。ブロードウェイでは2012年に開幕し、同年にトニー賞9部門にノミネート、5冠を勝ち取ったヒット作です。
★ノゾエ征爾さん&入野自由さんよりコメント到着★演出:ノゾエ征爾さんコメント
いやぁやばいです。間に合ってないです。ってそれはもちろん冗談ですが、まんざら冗談とも言い切れないくらい探索の尽きない作品です。そしてこの作品は特に、お客さんが最後のピースを担う要素が強いように感じます。次々と切り替わる風景を、生演奏と共に、気楽に楽しんでいただけたらと思います。皆さんと一緒に、ピーターの船の帆をあげていけましたら、それ以上の喜びはありません。 主演:入野自由さんコメント
僕が演じる「少年」は、永遠の少年「ピーター・パン」になる男の子。特別な男の子のようですが、素朴で人間味のある子です。僕自身も、役者をやっている上で、自分の取り柄ってなんだろうと周りを見渡したときに、僕は普通だな、特別な人間じゃない気がすると感じ、引け目に思うことがあります。今回はそこを逆手に、自分自身がもつ素朴さや普通だと感じる部分が、ピーターと巧くリンクしたらいいなと思っています。
こどももおとなも楽しめる作品になるよう、必死にみんなで探りながら作ってきました。シンプルな舞台上でキャストが身体を使って表現する、演劇の魅力が詰まった舞台になっています。楽しみに観に来ていただければ嬉しいです。左から)入野自由、豊原江理佳
12月27日(日)まで、新国立劇場 小劇場にて上演! 生演奏に乗せた歌、ダンス、芝居で立ち上げる『ピーター&ザ・スターキャッチャー』、「少年」たちと物語を旅しましょう♪
【おけぴ会員のみなさんから寄せられた感想】
◆変わった舞台の形だなぁと思いながら観始めましたがこの独特の舞台の形かいろいろなものに見え始め、世界観に引き込まれました! そしてミュージカルでもなく音楽劇とも謳ってなかったはずだけど全編に音楽が流れそれがまた良い感じで、とてもとても良い舞台を観させていただきました! 入野自由さん、豊原江理佳さん、その他の皆さんも本当に良かったです!
◆想像力を使うこと、楽しむことを大人になるといつのまにか忘れてしまう。久しぶりに童心に返って楽しみました。
◆トニー賞受賞作という事でミュージカルだと思っていましたが、ストプレを観たような気分になりました。キャストの皆様の豊かな口跡によるかもしれません。でも、歌や生演奏も良かったです! ほぼ衣装替えせずに何役もこなすキャストや、全ての場面に対応する面白いセットに、想像力が刺激されるようでした。原作小説は知らなくても問題ありませんが、ピーター・パンの登場(人)物をおさらいしておくとより楽しめると思います!
◆入野自由さんが素晴らしかったです。声のお仕事をなさる方だとばかり思っていましたが、大変舞台映えされる俳優さんなんですね。これからもたくさん拝見したいです。
◆様々な小道具を色んな物に見立てていくのが楽しくて、見ていてわくわくしました! モリー役の豊原さんが、溌剌としていてとても良かったです。
【観劇レポ】
「僕はここにいるよ」
入野ピーターのこの言葉が今もこだまする──。 こどももおとなも楽しめる、そんなコンセプトのシリーズですが、おとなが見ると楽しくもありほろ苦くもありました。少年が言う“きみはすぐ「ごめん」って言うよね”という言葉から始まる台詞。舞台は1885年、少年が語る100年後、200年後のこどもたちへの願いは、現代の大人へ向けられた問いかけでもあります。2020年を生きるこどもたちが直面している困難、「ごめん」だけではすまないことは、私たちに突きつけられている課題でもある。そう思うと、ファンタジーの世界のその横顔から、今日性のある現代劇の表情が見えてきます。ほかにもモリーを女の子のくせにという扱いをしながらも、口をつく「女王陛下万歳」という言葉、植民地支配は外国人労働力に……たくさんの風刺が込められています。それをおとぎ話、少年少女の冒険譚に姿を変えて届ける。自らを権威主義ではないと思いつつも、自然と「トニー賞だわ」と思う自分もいました。
そして、今回改めて、俳優入野自由さんの力を感じました。入野さんはじめ、ほかのキャストも含めた俳優たちはナレーターの役割も担います。そのナレーターの時の物語との距離感と少年(のちのピーター)としての台詞、その鮮やかな声の温度の変化は、少年の孤独、ピーターのヒーロー性を強く印象付けます。ときどきかんしゃくを起こすこどもっぽさも違和感なく、心を寄せたくなるピーターです。そして極めつけは「僕はここにいるよ」、そのひと言が今も心にこだまするのです。
モリーを演じる豊原江理佳さんの好演も作品を魅力的なものにしています。強くあろうとするモリー、彼女の成長譚でもあるこの物語。永遠の少年ピーター・パンとの空間と時間、ふたつの別れのシーンでは言葉にならない感情と涙がこぼれました。賢く勇気のあるモリー、やがて大人になるモリー、役の奥行きがすばらしい!!
新国立劇場小劇場発『ピーター&ザ・スターキャッチャー』、芸達者なキャスト、音楽家がみなさんをステキな旅にお連れしますよ♪
【コメント&稽古場映像】
こちらはおけぴ稽古場レポート
この記事は公演主催者の情報提供によりおけぴネットが作成しました