ミュージカル『キューティ・ブロンド』
大好評につき【2月25日(月)18:30】追加公演決定!!
詳細はこちら 2019年2月に再演される
ミュージカル『キューティ・ブロンド』。
初演に引き続き、主人公のエル・ウッズを演じる神田沙也加さんにインタビュー。再演への意気込みや、初演の思い出などをお聞きしてきました!
◆──初演の千秋楽に、再演決定の発表がありました。その時のお気持ちから教えてください。 「わーい! 嬉しい!」という単純な喜びよりも、まずは安堵感のほうが大きかったです。再演の決定は、初演の成功があってこそ。キャストやプロデューサー、演出の上田(一豪)さん、この作品に関わった全ての人が作り上げた一つの大きな結果、それが再演につながったと思っています。
初日前は客席の反応も予測がつかない状態でしたが、開幕後は連日満員のお客様に楽しんでいただき、千秋楽でもエルとの別れをすごく惜しんでくださっていることが伝わってきました。そのなかで「また同じ作品、同じ役でお会いできます!」とお伝えできることがとても幸せで、「もうこのまま(再演決定を)言わないで、この嬉しさをずっと胸の中に持っておきたい!」と思うほどでした(笑)。
──シアタークリエで初日を迎え、その後全国ツアー公演もありました。客席の反応は? 初日の一幕が終わった後にいただいた拍手、喝采が忘れられません。全国どこの劇場でも、反応の小さな違いはあれ、あの場面ではいつも同じように、大きな拍手をいただきました。十数年前、ブロードウェイでこの作品を観たときに感じた客席のテンションの高さ、アメリカ的な盛り上がり。それを日本のお客様にどう受け入れていただけるのかが課題でしたが、作品の持つメッセージが心に刺さり、ハッピーになっていただけた結果としての拍手なのかなと感じて、とても嬉しかったです。いつものシアタークリエとは違う“ヒューヒュー系”の歓声でしたよね(笑)。
客席にピンクの服の方がたくさんいて嬉しかったという沙也加さん。
「みんなでピンク色を身に着けて“キューティ・ブロンズ”になりましょう! と呼びかけて、客席にピンク色が増えてきたときの快感は忘れられません!」
──まるで映画のエルが、リアルに舞台に立っているようでした。 ふてくされたときの表情や、ブルーザーをかわいがる仕草などは映画版を参考にしました。エルの持ち物もできるだけ真似するようにしましたね。劇中で使うパソコンも、映画と同じオレンジ色のスケルトンのiBookなんですよ。型が古くてもう売っていないので、小道具係の方が中古パソコンショップで探してきてくれたんです。
──エルという役がご自身に与えてくれたものはありますか? とてもありがたいことに「エルのイメージにぴったり」と言っていただくことが多いのですが、自分ではエルと似ているとは思えないんです(笑)。エルっぽい動きやポージングは研究しましたが、完成したチラシやポスターを見ても「自分とはまるで別人だなあ」という感じ。
でもこの役を演じることで、「あまり考え込んでも仕方がない」というメンタルになったかもしれません。『キューティ~』が“ブライト・サイド”にひっぱってくれました。私、放っておくとすぐに“ダーク・サイド”に入っちゃうので(笑)。
そういえば、長くお付き合いのあるラジオのディレクターさんから「長年、一緒に仕事をしていても、まだ聞いたことがない声を持っていると思った」と感想をいただいたんです。エルがハーバードに行って、ワーナーを見つけたときに出した声が“初めて聞く声”だったそうです(笑)。私が普段は使わない声を出せていたなら、それはエルの声だったのかなと、私の中のエルの存在を教えてもらった気がした言葉でしたね。
プレッシャーを感じたときのポジティブ変換方法は?という質問に…
「役を演じることが“神田沙也加”からの健全な逃避になっています。エルを演じているときは“なるようになるさ!”という気分になる。役替えセラピーというか、役を通して“神田沙也加”という存在を多面的に捉えられるようになった気がします。あとは…甘いものを食べれば大抵のことはなんとかなる気がします(笑)」
──演じていて、客席からはわからない、苦労したポイントなどはありましたか? 一幕ラストの「So much better」というナンバー、その最後のポーズですね。アンサンブルの方が歌い踊りながらセットや仕掛けを動かして、エルのポーズと合わせるんです。お互いに「いいですね? オッケーですね? いきますよ!」とアイコンタクトを取って、動きをあわせる。“無言のセッション”です。地方に行くと劇場の大きさが違うので、さらにアイコンタクトが増えました。ここが決まらないと一幕が終わらないので、毎回、無事に決まったときの感動がありましたね。
──再演ではエメット役が平方元基さんに変わります。 彼は初対面から「あれ? この人、知り合いだったかな?」というテンションで距離を詰めてくる人なので、なにも心配していません(笑)。『マイ・フェア・レディ』で共演したときも、『キューティ~』のことを話しながら、セリフや歌合わせをしていたんですよ。「いまはイライザをやらせてほしいな」と思いつつも(笑)、この作品に出演するのを楽しみにしてくれていることが嬉しかったですね。
初演の佐藤隆紀さんは、ご本人も真面目でアカデミック。エメットのキャラクターに近い方でしたので、エルにいろいろと教えてくれる先輩としての関係から、少しずつ恋愛に発展していく感じでした。でも今回は最初から友達として意気投合しちゃうエルとエメットになるかも(笑)。友達期間を経て、最後に「…おやっ?」という感じになるかもしれませんね。
──演出の上田一豪さんは、この作品で東宝作品の演出家デビューをした後、次々と大作・話題作を手がけていますね。 『キューティ~』に出演が決まったとき、上田さんから「この作品を神田沙也加の代表作にしたい」と言っていただきました。キャスト・スタッフが集まった顔合わせの場でも「神田沙也加の、神田沙也加による、神田沙也加のためのキューティ・ブロンドにします!」と高らかに宣言してくださったんです。ですから菊田一夫演劇賞をいただいたときに、上田さんの宣言が“有言実行”になったことが何よりも嬉しかったですね。今でもお会いするとお互いに「ありがとうございます!」「いえいえ、ありがとうございます!」とお礼の言い合いになるんです(笑)。
上田さんはご自身でも「自分の現場で、楽しくないことはない」とおっしゃるくらい、いつも笑顔で、稽古場がピリピリした雰囲気になることがないんです。「一豪さん!」と呼びかけると、相手が誰でも、どんな提案でも、まずは笑顔で聞いてくれる。だからみんながどんどんアイデアを出すようになる。人を萎縮させないから、役者も自発的に動いて、伸びていく。こんな人が上司だったらいいだろうな、と思います。
上田さんによる訳詞は英語→日本語の違和感ゼロ。歌っているみなさんの楽しそうな表情が印象的でした!
「ただ英語を日本語に訳するだけではなく、母音の当てはめ方、日本語の選び方もウィットに富んでいて、センスがあるんですよね」
──最後に、改めて『キューティ・ブロンド』の「ここを見てほしい!」というポイントを教えてください。 これはもう「ハッピー!」以外にないです。
…といっても、ずっと「わたし、幸せです!」というお話ではありません。ひたすらハッピーでは見る方もしんどいですよね(笑)。
エルはジェットコースターのような子ですが、凹むときは「この世の終わりか」というくらい、がっつり凹みます。特に2幕後半でやってくる挫折は、彼女の人生ではじめての屈辱であり、ぜったいに人には見られたくない姿。エルがズタズタに傷ついているその瞬間をぜひ見逃さないでほしいですね。
初演を観ていない方で、予習をしたい方には、原作になった映画版があります。もちろん映画を見ていなくても大丈夫。スピード感はありますが、客席を置いていくことはありません。曲はポップで、歌詞も聞き取りやすいです。ダンスもキャラクターの心情に沿った動き。それから、劇場の中に写真を撮りたくなるスポットがあったり、雑貨屋さんにありそうなかわいいグッズを売っていたりと、舞台以外にもたくさん仕掛けがあるんです。「ミュージカルって難しそう」と思っている方も、『キューティ~』ならハードルはかなり低めです(笑)。ぜひ劇場に遊びにいらしてください!
◆ おけぴ管理人が「大好きなミュージカル作品は?」と聞かれたら、間違いなくこのミュージカルを挙げます!!
楽曲の高揚感、台詞と歌詞の絶妙な融合感、観終わった後の痛快感&爽快感。どのシーンももう一度観たくなる!
ミュージカルをあまり観ない方にも、ぜひ観て欲しいとオススメできる
『キューティ・ブロンド』。2019年2月11日、シアタークリエにて開幕です!
2月17日&20日にはおけぴ観劇会も開催♪
(満席となりました。たくさんのご応募ありがとうございました!)
写真満載ロングレポ! 初演時観劇レポはこちら♪(未見の方はネタバレ注意!)
♪取材こぼれ話
劇中に登場するロングコート・チワワのブルーザー。初演千秋楽の後、神田沙也加さんの本当の“家族”として迎えられたことをご存知の方も多いと思います♪ 実はこのブルーザー、お稽古中からご自宅に同居していたんだそうです。
沙也加さん:
とにかくエルに慣れさせるために、稽古中はスタッフさんにお願いして、家に連れて帰って一緒に寝ていたんです。
本番が近くなり、一緒に過ごせる最後の日の帰り道に、ペット用のカートに乗せたブルーザーの耳の後ろのふわふわを見ていたら、すごく寂しくなり、涙が出てきてしまって…。あまりにも落ち込んでいたら、夫から「そんなに寂しいなら“ブルーザーの本当の家族になりたいです”と相談してみたら」と提案されて、家族になることができました。
小さくても“舞台俳優”ですので、舞台上で粗相のないように教育しています(笑)。再演の舞台でも、成長したブルーザーの姿を楽しみにしていてくださいね。ミュージカル『キューティ・ブロンド』
【2月25日(月)18:30】追加公演決定!!
公演公式サイト
おけぴ取材班:おけぴ管理人、hase(撮影)、mamiko(文) 監修:おけぴ管理人