2023年4月24日、松本白鸚さんが半世紀以上にわたり単独主演を務められたミュージカル『ラ・マンチャの男』のファイナル公演が幕を下ろしました。
写真提供/東宝演劇部
たとえ傷つくとも
力 ふり絞りて
我は歩み続けん
あの星の許へ舞台に立つ、その姿で『ラ・マンチャの男』を伝えてくだった白鸚さん。
大千穐楽のカーテンコール、万雷の拍手のなか登場した白鸚さんにアルドンザ役の松たか子さんからバラの花束が渡されました。
花束を手に、迷いなくひざまずく松さん。とても松さんらしいです。(写真提供/東宝演劇部)
松さんがアントニア役を経てアルドンザ役をはじめて演じたのは2002年。鮮烈な印象を残しました。(写真提供/東宝演劇部)
2023年、力強さと激しさ、成熟したアルドンザを見せてくれた松さん
ドン・キホーテに向け語る、セルバンテスに向け歌うラストシーンを引き受けるにふさわしい俳優としての存在感です。(写真提供/東宝演劇部)
ここで白鸚さんからのご挨拶。
「どうもありがとう存じました。初演から54年、劇場へ足を運んでくださるお客様のお陰で、今日までやれました。これからも命のある限り芝居を続けて参ります」その後、サンチョ役の駒田一さんから共に旅をしてきた仲間のご紹介がありました。順に進み、白鸚さんとともに長きにわたり牢名主役として作品を支えてこられた上條恒彦さん、アルドンザ役の松たか子さんのご紹介を終えたところで白鸚さんの力強い声が響きます。「サンチョ、駒田一!」 そして改めて駒田さんから「我らがセルバンテス/ドン・キホーテ、松本白鸚」でまたまた割れんばかりの拍手! このやりとりにグッときます。
旦那が~ 好きなのさ~
愛嬌があって、作品のムードメーカー的なサンチョを演じる駒田さんも、ラバ追いから床屋、サンチョと長く作品に携わってこられた方のお一人。(写真提供/東宝演劇部)
白鸚さんの「お名残り惜しいですが、皆様と一緒に“見果てぬ夢”を歌ってお別れしたいと思います」の言葉で“見果てぬ夢”の大合唱!
写真提供/東宝演劇部
主演俳優として、そして2002年からは演出も手掛けられた松本白鸚さんの『ラ・マンチャの男』が幕を下ろす。エグジットミュージックの間も、54年の旅への惜しみない拍手が鳴りやむことはありませんでした。これぞ有終の美。
一人の俳優が54年という年月をかけて挑んだ旅の果てに語る
「我らは二人ともラ・マンチャの男です」その言葉は無限の意味を持つ。
芝居と実人生、虚と実を超越したミュージカル『ラ・マンチャの男』の大千穐楽。
舞台や会見ではいつも、なによりも先に、なによりも強く感謝の言葉を述べる白鸚さんに、観客からも大きな大きな声で「ありがとうございました!」の言葉を贈ります。
1969年帝国劇場ミュージカル『ラ・マンチャの男』初演(写真提供/東宝演劇部)
54年に渡り単独主演を務められた松本白鸚さんのセルバンテス/ドン・キホーテ(写真提供/東宝演劇部)
無事に千穐楽を迎えたことへの安堵と、この時が来てしまったことでこころにぽっかりと開いた穴、それも含めて松本白鸚さんの『ラ・マンチャの男』はそれぞれの心に生き続けることでしょう。あるべき姿のために!
◆白鸚さん、松さんが作品への思いや俳優としての心意気を語った
ミュージカル『ラ・マンチャの男』製作発表会見レポート~悲しみを希望に、苦しみを勇気に変える~(2022年公演)「旦那が~好きなのさ~」、旦那様に寄り添うサンチョ役駒田一さんのインタビュー記事(2019年公演)もご紹介いたします。
ミュージカル『ラ・マンチャの男』駒田一さんインタビュー
おけぴ取材班:chiaki(編集・文)監修:おけぴ管理人