◆記事後半に稽古場レポ(写真あり♪)を追記しました!◆関西を拠点に活動する
劇団Patchが、森ノ宮ピロティホール(大阪・森ノ宮)に初進出!
劇作家・演出家の
末満健一さんが、Patchの兄貴分・D-BOYSの演劇公演“Dステ”に書き下ろした最新作『
夕陽伝』(演出・岡村俊一)を、末満さん自身の手で演出。Patchバージョンの
『幽悲伝』として上演します!
『古事記』におさめられた日本の神話をモチーフに、王家に生まれた兄と弟、そして周囲の人々の宿命を描く“命の物語”。
劇団内オーディションで、主役・ヤマトの王位を継ぐ海里(かいり)役に選ばれたのは、
Patchリーダーとして活動を支え続けてきた
村川 勁剛(むらかわ けいごう)さん!
海里役・村川勁剛さん
<村川勁剛さん コメント>
劇団Patchが結成されてから3年が経ち、この劇団のリーダーを務めるようになってからも3年が経ちました。早いもので今回で7度目の Patch stage を迎えます。結成当初からずっと目標に掲げてきた森ノ宮ピロティホールメインホールでの公演が決定し、メンバー一同、胸を熱くしております。
メンバーのほとんどが素人だった劇団Patch。この3年で、メンバー一人ひとりが役者としての自我が目覚めはじめ、作品に対する想いも強くなっていくようになりました。そんな僕たちがここまで来ることが出来たのは、沢山の方々のご尽力があってのことです。
劇団Patchの生みの親である演出家の末満健一さん、芸能界というものを一から教えてくださり、僕たちに影響を与えてくださった方々、関西小劇場で共に活動する役者・スタッフの皆様、いつ何時も僕たちの一番近くで見守り、そして導いて下さるマネージャーをはじめとするワタナベエンターテインメントのスタッフの皆様、応援して下さるお客様。そんな方々に教えられ、育てられました『森ノ宮ピロティホール』という念願の場所で公演が出来ること。それは僕たちをこれまで支えて来て下さった皆様へ、最初の恩返しにしたいと思っています。『幽悲伝』という作品は僕たちにとってあらゆる意味で大きな、そして新たな挑戦になるでしょう。
すべてのご縁とご恩に感謝を込めて、良い作品を作り上げていく所存です。劇団Patchの集大成、僕たちの熱い芝居を是非観に来て下さい!!海里の弟で、兄と同じ女性を愛してしまう都月(つづき)役は、Patch結成前からメンバー候補生として村川さんとともに切磋琢磨してきた
松井 勇歩(まつい ゆうほ)さん。
都月役・松井勇歩さん
同学年のライバル同士というお2人が、“普段とはキャラクターや関係性が逆”という兄弟役に挑むのも見どころです!
さらに、Patch stage 初の試みとして、
D-BOYSからの客演も決定!
2013年の『TRUMP』以来、3年ぶりの末満作品出演となる、
三津谷 亮(みつや りょう)さんが、恐ろしくも哀しい宿命を背負った適役・毘流古(ひるこ)を演じ、作品にアクセントを与えます!
毘流古役・三津谷亮さん
脚本を手がけた末満さんご自身による演出で、さらにディープに、ダークに、エモーショナルに、
末満ワールド全開! の
『幽悲伝』。
Dステ版『夕陽伝』をご覧になった方も、ぜひ
ふたつの“ユウヒデン”を見比べてみてください。
<追記・稽古場におじゃましてきました!>「自分を変えたくて、Patchリーダーに立候補した」
そう恥ずかしそうに語ってくれた日が嘘のように、力強い表情!
セリフ量も、殺陣の運動量もハンパじゃない、海里役。
稽古前にランニングをするなど、体力作りにも励み、大舞台に備えているという村川さん。
「自分とは真反対の役。前半の軽いノリも、後半の心情を表に出すところも、なかなかうまくいかなかったけど、都月役の松井にも、めっちゃアドバイスをもらって、微々たるスピードですが前に進めている気がします」(村川)
「“自分たちの芝居”を届けたい」と意気込む松井さん
「これまでの芝居とちがうのは、演技プランをできるだけ自分たちで考えて作っているところ。今までは、うまくいかないときに演技のヒントというか、ほとんど答えのようなものを提示してもらっていたけれど、いつまでもそれでは“Patchの芝居”にならないので」(松井)
チャラチャラしているようで、心に苦悩を抱える兄・海里と、
真面目で優秀にも関わらず兄にコンプレックスを抱く弟・都月。
「(演技について)ふたりでめっちゃ相談して、喧嘩もめっちゃしました(笑)!」(松井)
「彼に言われると、すごく悔しんですけど、どこかで納得している自分もいて…
素直に認めたくないんですけど」(村川)
Dステ版『夕陽伝』にも出演した中山義紘さんは
ヤマトの摂政であり、ふたりの王子の幼なじみ・陽向の父、
猿美弥役を演じます。
「Dステ版では遠藤雄弥さんが演じた役。もちろん僕にとって初めての“父親役”です。(「はまり役や!(松井)」「うっさい!誰が老け顔やねん!(中山)」) 娘を嫁に出す父親の気持ち、子どもを失う気持ちをどこまでイメージできるかが勝負だと思っています。末満さんも“イメージできればどんな芝居でもできる”っておっしゃるんです。あとは貫禄をだすために、髭も伸ばしています(笑)」(中山)
朝ドラ『ごちそうさん』出演時とはまったく別の顔!?
こだわりの“髭”スタイリングにも注目!
Patch Stage に D-BOYSメンバーが参加するのは初!
三津谷亮さんの“キレている”演技、身のこなし、
そして体いっぱいに表現する“哀しさ”…目をひきつけられます。
「三津谷さんは…変態っす。芝居変態(笑)。ほんまにPatchにはなかった色というか。ひとりで覚悟を背負って来てくれはって、演技も芝居に対する姿勢も、先輩として僕らに背中を見せてくれています」(松井)
「三津谷さんが参加した日から、稽古場の空気感が変わったんです。芝居でその場の空気が変わるのを目の当たりにして…刺激をもらっています。ああいうふうになりたい…盗めるものはぜんぶ盗みたいです」(村川)
「三津谷さんは身体はキレるし、演技もキレる。でもほんとうは笑顔が似合う柔らかい人。
すごく謙虚に僕らの意見も聞いてくれて…別の集団に飛び込んできて、そういう姿勢でいられるのは、逆に言うと自分のやり方にすごくプライドを持っている人なんだなと思います」(中山)
Patchメンバーも負けていません!
中山さんとともにDステ『夕陽伝』にも出演した三好大貴さん。
彼が演じる熊曾(クマソ)の王子もまた哀しいコンプレックスを抱えています…
もともと演技派の三好さん、末満さんの愛のムチを受けてさらに飛躍!
クマソの王子に仕える因幡役・杞山星璃さん。
“選ばれなかった男たち”を見つめる、この眼差し…!
クールでシャープな殺陣にも注目です!
海里と都月とともに育った舎人・出雲役は
現在朝ドラ「あさが来た」で弥七役を務める竹下健人さん。
こ人の立場も切ない…! 思わず出雲に同情してしまいました(笑)。
竹下さんの丁寧なお芝居、目が離せませんよ!
物語におもいっきり明るい“萌え!”を与えてくれるのはこのおふたり♪
山育ちの兄弟・富士丸(井上拓哉さん)と 陸奥(吉本考志さん)。
笑いもアクションも、ここぞ!というときのキメ台詞もお楽しみに!
ヒロイン・日向役は客演の田渕法明さん。
所作の美しさ、可憐さ…オールメールキャストの醍醐味です♪
せつない笑顔の日向。彼女がみた“夕陽のむこう”には一体何が…?
兄と弟が伸ばした手の先に見えたものは…
「傷つき、傷ついて、それでも生きる。地を這い、泥をすすり、未来に進む」
この言葉の意味を、ぜひ劇場で確かめてきてください!
舞台『K』シリーズ、『TRUMP』、『刀剣乱舞』(ストレートプレイ版)など、注目作が続く末満健一さん。
旗揚げ時より関わってきたPatchのメンバーとの作品創りは、愛ゆえの厳しさをお互いにストレートにぶつけあう現場のようで…
「末満さんの演出は…ゾクゾクします。やっぱりご自身が書いた脚本なので、セリフひとつとっても、キャラクター同士の絆であっても、“そこまで深いんや! そこまで考えて書かれているんや!”という驚きがまだあります。ダメ出しのひとつひとつにその深さが含まれていて、まだまだ自分のイメージが足りなかったなと、悔しい毎日です」(中山)
「悔しい。常に悔しいっす。ぜんぜん勝てへんくて。僕らが一生懸命考えても、それ以上に(末満さんが)僕らのことを考えてくれていて…。離れていてもPatchのことを考えてくださっているんで…悔しいですよね! くそーっ! って思っています(笑)。でもこの悔しい感じがPatchの、特に一期生たちの原動力になっていると思う。最初の頃なんかほんまになんもわかっていなくて(笑)、ただ言われるがままについていってましたけど、いまは末満さんがいかにすごいことを伝えてくれようとしてるかがわかる。わかるからこそ、なおさらできなくて悔しい…ほんま、厳しいです(笑)」(松井)
「求められるものが、今までとはぜんぜん違うなと感じています。末満さんに初めて演出を受けるような気分です。これまで積み重ねてきたものもありますが、それだけではダメなんだなと。これまでとは“ちがう育て方”をしようとしてはるんかな、って。これまでのPatchは、メンバーそれぞれのキャラクターや、俳優としてのレベルに合わせて芝居を作ってきたけど、今回はさらに上のものを見せられるように、僕らを導いてくださっているのかなと感じます。その期待に応えたいです。でも今のままじゃまだまだ足りないので、本番までになにかの答えを出せるようにがんばります!
これが最初で最後の森ノ宮ピロティホールにならないように(笑)。“いまのPatch”を見られるのはこの『幽悲伝』だけです! ぜひ大阪だけでなく全国から劇場にいらしてください!」(村川)
最後に、作・演出の末満健一さんより、おけぴ感激観劇レポへのメッセージを頂きました!
作演出・末満健一さん
<末満健一さん コメント>
劇団Patch最新作は日本最古の神話「古事記」を下敷きとしたスペクタクル活劇です。
日本という国をテーマに作品をつくる上でまず頭に過ったのが、
3.11の東日本大震災、福島の原発事故、近隣諸国との政治的均衡、安保法案で揺れる世論などでした。
先行きの見えない閉塞的な空気に満たされた現代日本で、「古事記」を題材に作品をつくる意味を考えました。
決してポリティカルなテーマを伝えたいわけではありません。
ただ、現代に生きる「人間」として我々がなにを背負いながらこの先を生きていかなければならないのか。
そういったことを頭の片隅に置きながら、現代で神話を語りなおしてみようと試みました。
僕は稽古をしながら役者たちに「この物語は、ハッピーエンドでもなくバッドエンドでもなく、ビターエンドなのだ」と説明をしました。僕たちは今、飲み込みずらい苦さを飲み込まなくてはならない。それが今、この国で生きていくということなのだと。そういった結末に向けて、全員芝居で紡いでいくつもりです。
旗揚げ公演から3年。彼らが目標のひとつとしていた森ノ宮ピロティホールでの本公演が実現します。
稽古期間は通常の3倍にあたる3ヶ月間。力の入れようも今まで以上です。
また、彼らの先輩にあたるD-BOYSが同一脚本を用いて、『夕陽伝』として先行上演いたします。こちらの演出は岡村俊一さん。同じ脚本でも、演出と俳優が変わればここまで違う作品になるのだという、演劇の面白さもお届けできるはずです。
劇団Patch3年目の挑戦。たくさんの人にお立合いいただければ幸いです。
末満健一
おけぴ取材班:mamiko(撮影・文) 監修:おけぴ管理人