【祝・開幕】舞台写真が届きました♪
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稽古場レポートへジャンプ♪美しい舞台、豊かな音楽、そして濃密な人間ドラマ。
愛という視点で、「人間」を深く追求したソンドハイムミュージカル
『パッション』が幕を開けました♪
物語の核となる、3人の男女、ジョルジオ(井上芳雄さん)、クララ(和音美桜さん)、フォスカ(シルビア・グラブさん)のお写真が届きました。
井上芳雄さんが、ジョルジオの葛藤と苦悩を生々しく演じます。
井上芳雄さん
和音美桜さんとシルビア・グラブさんが演じる、クララとフォスカ、二人は光と陰なのでしょうか…。
そうそう、光といえば、照明もとても素敵&効果的です!
手前より)井上芳雄さん、和音美桜さん
左より)井上芳雄さん、シルビア・グラブさん
「ねぇねぇ、あれって…」、「私はフォスカに…」、「クララってさぁ…」、「僕のような凡人には…」、観劇後、駅までの道のりは、いつもより闊達な意見交換がされていたような気がします。
この秋一番の話題作『パッション』、新国立劇場にて開幕です!
予定上演時間は約2時間35分(第1幕65分 休憩20分 第2幕70分)。
そして、完売公演でも見られるチャンス♪
<当日販売のZ席のご案内>公演当日朝10:00から新国立劇場ボックスオフィス窓口にて販売いたします。1人1枚。電話予約はできません。
Z席は、貸切公演・ぴあスペシャルデーを含む全日程で、公演当日ボックスオフィスにて販売いたします。
Z席 1,620 円(税込) は舞台が見づらいお席です。予めご了承ください。
詳しくは
こちら(新国立劇場HP)をご覧ください。
また、
新国立劇場 演劇ツイッターでは、当日残席情報を毎日発信しています
(便利!)ぜひチェックを!!
【稽古場レポート】
この秋、ミュージカルファンのみならず演劇ファンとしても注目の
新国立劇場 ミュージカル『パッション』のお稽古場へお邪魔してまいりました。
(作品のご紹介はこちらを→
『パッション』製作発表レポ、
井上芳雄さんインタビュー)
お稽古ピアノに合わせた通し稽古を拝見しましたが…。
ふぅ~。
一幕が終わったとき、まず、大きく息をした気がします。
はぁ~。
二幕が終わったときもやはり深い呼吸が必要でしたが、でも先ほどとは違う、どこか見届けた感のある満たされたものに変わっていました。
同じだったのはどちらも時が経つのはあっという間に感じらたこと、それと、その後口をついて出たのは「なかなか疲れますねぇ」でございました(笑)。
巨匠スティーブン・ソンドハイム作品ということで、とかく難解な音楽に注目が集まりがちですが、いやいや、これは
宮田慶子さんの演出さえわたる、
甘美でときに激しい愛の極上芝居です! (もちろん、BGMに至るまで、その音楽にもしびれますよ♪)
愛のドラマを繰り広げるのは…
ジョルジオ・バケッティ大尉:井上芳雄さん
クララ:和音美桜さん
フォスカ:シルビア・グラブさん
舞台となるのは19世紀のイタリア。仕事も恋も順風満帆のジョルジオと美しいクララ、愛し合う恋人たちが愛を交わす場面にうっとりしていると、動き出す物語。きっかけは軍人であるジョルジオのミラノから辺鄙な田舎への転属。
転属になると、これまでのようには逢瀬を重ねられなくなる。それまでの残り僅かな時を過ごす二人ですからね、燃え上がるわけです。
その思い、愛を謳い上げる二人なのですが、その甘美なメロディに寄り添うかと思ったら、離れてしまうことへの不安をも感じさせる不穏な、相反する伴奏に変化したりと、はじまってわずか数分にして作品に魅了されます。そこからは
台詞と歌…、その境目がどうのこうのということを考えることすら忘れ、芝居の世界へ引き込まれます。
この作品、甘い愛の物語と好対照な軍隊という環境も肝!
柔らかな音楽と、小気味よく一糸乱れずに進むドラムのリズムで、夢の中のような恋と現実が好対照な音で表現されている。そうかと思うと、高鳴る胸の鼓動をドラムで表現したり…、そのどちらも混乱することなく、こちらの理解を促すのです。
ソンドハイムマジックの虜です。
こちらは赴任先の、リッチ大佐率いる部隊の兵舎のダイニング。
写真左より)軍医:佐山陽規さん、トラッソ中尉:伊藤達人さん、リッツォッリ少佐:原 慎一郎さん、バッリ中尉:KENTAROさん、ジョルジオ:井上芳雄さん
写真左より)コック:藤浦功一さん、アウジェンティ:内藤大希さん、KENTAROさん、伊藤達人さん、原慎一郎さん
こちらの5人は、
“ジョルジオとは違うタイプ”というコントラストを鮮やかに生み出す男たち。なんというか、下世話な会話をする人々を好演なのです。
そして、下世話ながらその歌声、ハーモニーは
もちろん絶品!!
伊藤達人さん演じるトラッソが数小節ですが披露するオペラ…おおお、ホンモノの迫力。
原慎一郎さんはもうひと役、重要人物を演じます。
そして、フォスカの従兄でもあるリッチ大佐の福井貴一さん、軍医の佐山陽規さんらベテラン組が芝居の要所をピリッと引き締めます!
さて、愛の物語に話を戻しますと!
この作品、とにもかくにも二人の女性に目を奪われます。
まずは、
和音美桜さん演じるクララ。
“愛されている女性の美しさ”に吸い込まれそう。思わず口をぽかんと開いて見惚れてしまうようなクララなのです。
正直申し上げると、製作発表での“クララは観客が感情移入しやすい”というところに「え、そうかな」と若干疑問を持っておりました。そんなイジワルな心の取材班ではございましたが、実際に見ていると、自然に彼女なりの事情があるのだろうなと、その背景を想像させるのです。
和音さんの
お芝居に加え、その
歌声にも芯の強さがあるので、クララの人物像にも変なブレがないのでしょう。そして、楽曲という点では和音さんの
美しいソプラノヴォイス炸裂ですよ♪
続いては
シルビア・グラブさん演じるフォスカ。
今も、フォスカのことを考えると胸がザワザワします。
病に冒され、思わず直視するのをためらってしまうような女性。
その負のオーラを佇まいだけで醸し出すシルビアさんの芝居に、まず、息をのみます。
そして、ジョルジオを愛し、執拗に迫るフォスカにドン引きするかと思いきや、その何の計算もなく、まっすぐな言動に不思議なほどに引き込まれ、
目が離せなくなるのです。
フォスカの激しい感情の起伏そのもののような歌も、シルビアさんの
力強い歌声で畳みかけられるともう逃れられない!
稽古場段階ながら、驚くほど“シルビアさんを感じさせない”、フォスカそのものなのです。
そして、そんな二人の女性の心の中と、視線の先に常に存在するのが
井上芳雄さん演じるジョルジオ。物語はジョルジオの視点で進みます。
フォスカとの出会いをきっかけに、戸惑い、嫌悪、葛藤、そして苦悩…。ジョルジオの感情が大きく動き始めるのですが、見ている側もジョルジオ視点で心動かされました。
次第に溶解して、やがて崩壊…、ジョルジオの機微が井上さんの誠実な芝居で表現され、いつしか緊張感までも共有してしまうのです。なんでしょう、この
芝居力!
井上さんといえば、
インタビュー、
製作発表などでも、繰り返しキャッチーな
“セクシー”というテーマを掲げてくださいました。
そこに関していうと、
「演出の宮田慶子さんが放つ、セクシーなジョルジオ、そういうことだったのですね」と言ったところでしょうか。
奥歯にものが挟まったような言い方で恐縮ですが、そうなんです、セクシーなんです。
つまり…
ベストキャスティングなのです!!
オーケストラ、衣裳、照明、セット…すべてが融合し、さらに豊かで、切なく、甘く、激しい『パッション』が誕生するまで、もう間もなくです。
終わって、なお、様々な残響をもたらす。やはり、この秋の注目作です。
舞台写真提供:公益財団法人 新国立劇場運営財団
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人