1987年6月17日に帝国劇場で日本初演公演が開幕!日本初演30周年記念日となるこの日はミュージカル『レ・ミゼラブル』の作者であるアラン・ブーブリル氏とクロード=ミッシェル・シェーンベルク氏もお祝いにかけつけるという、超がつくほどのスペシャル・カーテンコールが行われました。
この日は総勢約150名の歴代&現役キャストがご登壇されました
この作品には、これまでにのべ2900人のキャストが出演したというのも驚異の数字!!
スペシャル・カーテンコールの始まりは歴代キャスト、現役キャストが登場しての
♪ワン・デイ・モア。
(写真キャプションなどは敬称略で失礼します) 登場人物それぞれの思惑・人生が交錯するさまが、歌詞でもメロディでも表現されるミュージカルナンバーの魅力が凝縮されたような、本編一幕ラストのナンバーです。
宮本裕子、柴田夏乃、鈴木ほのか(コゼット)/山崎育三郎、海宝直人、安崎求、宮川浩(マリウス)/別所哲也、鹿賀丈史、今井清隆(ジャン・バルジャン)/今拓哉、吉原光夫、岡幸二郎(ジャベール)
(マリウス)(バルジャン)(ジャベール)/白木美貴子、松原凛子、島田歌穂(エポニーヌ)/山形ユキオ、橋本じゅん、本間識章(テナルディエ)/前田美波里、森公美子、鳳蘭、阿知波悟美(マダム・テナルディエ、濃い!!)
各パートが始まると自然と拍手がわきおこり、懐かしさ、感動が客席を満たします!
ラストでは、岸祐二さん、坂元健児さん、上原理生さんのアンジョルラスのお三方が力強くこぶしを振り上げたのが印象的でした。(銃は持っていませんでしたが、腕を振り上げずには終われない?!)
ご登壇キャストの紹介では、この方の姿も!この作品では、俳優さんのキャリア、年齢に応じてさまざまな役を演じていくケースもとても多く、2013年までガブローシュ役を演じていた加藤さんもいずれ…そんな期待を抱いてしまいます。
藤井夕香里、加藤清史郎、飯田容子
続いては、ゲストインタビュー(インタビュアー:森公美子さん、岡幸二郎さん)。
初演のジャン・バルジャン&ジャベール役の鹿賀丈史さん
「初日が近づくと、この帝国劇場に壮大なセットが組まれ、リアリティがある美しい照明がともされ、役者が着る衣裳も(時代考証にあわせた)ファスナーやマジックテープの一切ないものをひとつひとつ手作業で揃えてくださり…そんなオリジナルスタッフに支えられて初日を迎えました。今日、お芝居を拝見しましたが、(初演の)あのときよりもっと勢いを増した元気な舞台を見せていただきました」
初演の鹿賀さんの姿を見て、自分も出演したいと志したという別所哲也さん。
「俳優人生で大切な大切な作品であり、役です」
テナルディエ・イン(宿屋)のシーンで指を骨折していたが、全く気付いていなかったという前田美波里さん
コゼットをいじめる役だったことで、ファン激減というエピソードを披露する鳳蘭さん
「来世ではコゼットを演じたい」
初演はプルベールとフイイ、1994年からマリウスを演じた
宮川浩さんは、
「まだ学生だったころオーディションに通り、30年前にここに立ったときから…年月は僕を変えました(笑)。アンサンブルから94年にマリウスになったときのことは…うれしかったでしょうね。あまり覚えていないですが(笑)」
初演はマリウスとプルベール、2007年からはテナルディエを演じた
安崎求さんは、
「30年前の今日、この舞台に立っていたことを誇りに思います。ただ、ハンガーを背負ったまま舞台に立つという大失敗をしてしまったのです…。みなさん気をつけましょう(笑)」
それぞれに笑いを交えてお話してくださったおふたりです。そして、マリウス役からもうお一人!
プロローグからエピローグまで一人で全曲歌えるほどのレミゼ愛を炸裂させた山崎育三郎さん
「ちょうど10年前の6月にマリウスデビューしました。オーディションでの審査の曲は、カフェソングでしたが、僕は、客席のみなさんに負けないくらいのレミゼオタク。オーディションでもマリウスの全ての曲を、なにも見ないで歌えます!といったら合格しました!」
初演はコゼットとアンサンブル、その後ファンテーヌ、現在はマダム・テナルディエの
鈴木ほのかさんは、
「30年前の今日は、テナルディエ・インのシーンで中央で歌う鳳さんの後ろにアンサンブルとして立っていました。記録の写真にも載っています(笑)。こうして、今、鳳さんが演じていた役をできるなんて、みなさまのおかげです」
ロンドンのバラエティパフォーマンスに世界のレミゼファミリーの一人として参加し、エリザベス女王の前でも歌ったご経験を持つ島田歌穂さん
「今でも初演の初日の感動を思い出します。人生を切り開いてくれた作品です」
ファンテーヌの歌の音域に苦労したというお話を披露してくださったのは岩崎宏美さん
「シェーンベルク氏もジョン・ケアード氏(演出)もファルセットでもいいけれど、そうわからないように歌ってくれればそれでいいと言ってくださり。必死で練習しました。今、「ロマンス」など歌う時に役立っています」
ファンテーヌ役を務められた
渚あきさんは、
「感情を表現して歌うようにいわれ、号泣しながら歌ったオーディションを思い出しました。ダメだと思ったら合格のお知らせをいただいたんです」
初演公演にアンサンブルとしてご主演されていた藤田朋子さん
「このオーディションに受からなかったら、いまだに路頭に迷っていたと思います(笑)。あらゆるオーディションに落ちていたので、この作品も記者会見に行くまで騙されていると思っていました。その後で、すぐの朝ドラのオーディションを受け、合格しました。今まで(女優を)続けてこられたのは、この作品が、関係者のみなさんが私を舞台に立たせてくれたからです」
『ジャージー・ボーイズ』や『手紙』などにもご出演の
小此木麻理(現・まり)さんは…
「1994年、8歳の時にリトルコゼット役で出演いたしました。それが私のミュージカルデビューです。ここから始まったんです!この作品に感謝しています!」
みなさんのコメントから、『レ・ミゼラブル』という作品の大きさをひしひしと感じます。観劇歴の長短に関わらず、キャスト同様にお客様ひとりひとりの想い、愛があふれる
ここで海外からのゲストの
パトリス・ティポーキさんの登場です。歌唱披露は
♪I Dreamed a Dream。ウェストエンド、オーストラリア・ツアー、シンガポール、ドバイ公演でファンテーヌ役をされています。
「7歳の時に、私が劇場で初めて見た作品。『レ・ミゼラブル』が演劇への愛情を私にくれました。30年というのは本当に素晴らしい年月、お祝いの場に立ち会えたことをうれしく思います。おめでとうございます」(ティポーキさんコメント)
お祝いのビデオメッセージ上映(ロンドンカンパニー、ブラジルカンパニーなど)に続いて登場したのは、スペシャルゲストのおふたりです。
ミュージカル『レ・ミゼラブル』の作者である
アラン・ブーブリル氏(オリジナルフランス語詞作詞)と
クロード=ミッシェル・シェーンベルク氏(作曲)です。
アラン・ブーブリル氏(オリジナルフランス語詞作詞)
「30年前の初演にはたくさんの心温まる思い出があります。長い時間をかけた、訳詞をされた岩谷時子さんとのディスカッション。残念ながら岩谷さんは数年前に他界されましたが、今でもその時のことはよく覚えております。また、初日のステージを皇太子殿下と一緒に観ましたが、幕間にフランス文学やユゴーについて、たくさんお話したことも思い出です
当時、30周年をこの帝国劇場の舞台に立ってお祝いできるなんて、まったく想像できませんでした。この日をこうして迎えられたのは、ひとえに日本のお客様がこの作品を愛してくださったからだと思います。ありがとうございます」
クロード=ミッシェル・シェーンベルク氏(作曲)
「Yuki-Babyこと斉藤由貴さん(初演のコゼット役)が『レ・ミゼラブル』をロンドンに観に来た際に、ディナーをご一緒しました。彼女は僕に「ユキ・サイトウ、コゼット、ノーノー」と言いました。理由を尋ねると、「ウェディングのシーンでコゼットはマリウスにキスをするから、私にはできません」と。ですので、ほっぺにキスをするということで折り合いをつけました。それが30年前の出来事です(笑)。
(お祝いメッセージの動画で)オリジナルプロデューサーである古川さん、ブーブリル氏から岩谷さんのお名前が出ましたが、もう一人忘れたくない方がいます。本当に素晴らしいエポニーヌであり、世界を見ても本当に素晴らしい(同じく両氏の作品である『ミス・サイゴン』において)キムであった本田美奈子.さんです。
30年という長い歳月、もういらっしゃらない方もいますが、彼ら彼女らの精神は今もわれわれと共にあると思っております」
おふたりのコメントに、客席のあちらこちらでハンカチで涙をぬぐう方が…。
また、「ミュージカル『レ・ミゼラブル』の生みの親として、私たちに加えて、英語の作詞を手掛けた
ハーバート・クレッツマー氏も忘れてはなりません」とブーブリル氏からご紹介がありましたが、素晴らしい作品を生み出してくださったみなさんへ客席から大きな拍手と感謝の気持ちが届けられました。
続いては、
シェーンベルク氏のピアノで
現役&歴代の6人のバルジャン、さらに
2017年アンサンブルのみなさんのコーラスでお届けする
♪彼を帰して歌唱披露です。この日のためのスペシャルバージョンをシェーンベルク氏がご用意してくださいました。
ピアノ:クロード=ミッシェル・シェーンベルク
吉原光夫、福井晶一、別所哲也、鹿賀丈史、今井清隆、ヤン・ジュンモ
鹿賀さん、別所さんのソロ、鹿賀さん&別所さん、続いて今井さんソロ、ジュンモさんソロと歌い継ぎ、バルジャン全員による歌声が劇場を包み込みました。さらにコーラスが加わり、劇場が厳かな祈りに包まれた瞬間でした。
最初と最後は、バルジャン全員がシェーンベルクさんを囲むようにして歌う、その景色も素敵でした。
こうして感動も最高潮に達し、スペシャル・カーテンコールはいよいよフィナーレへ!
この日のご登壇者みなさんそろって、作品を代表するナンバー
♪民衆の歌大合唱です!!こちらも途中、オーケストラの演奏が止まり、アカペラになるスペシャルバージョン!
懐かしい顔ぶれ、そして夢の競演の数々などが詰まった、日本初演30周年記念スペシャルウィークも終わりのときが近づきます。
写真左より)岸祐二、上原理生、坂元健児(アンジョルラス)/(マリウス)/(コゼット)/(エポニーヌ)
レジェンドキャストと現役キャスト、そして客席が一体となって迎えた感動的なフィナーレ!
こちらは舞台花道で歌う、2017公演のアンサンブルキャストの方々。休演日一日をはさみ、『レ・ミゼラブル』2017はまだまだ続きます!ここからまた、40周年、50周年と歩みを進め、いつしか今日の現役キャストもレジェンドキャストとなる日が来ることでしょう。
スターを生み出すミュージカル『レ・ミゼラブル』の歴史はまだまだ続くのです。
帝国劇場では7月17日(月)まで、その後は
8月1日(火)~26日(土) は福岡・博多座、
9月2日(土)~15日(金)は大阪・フェスティバルホール、
9月25日(月)~10月16日(月)は名古屋・中日劇場にて上演!
列に入れよ~、われらの味方に!
『レ・ミゼラブル』日本初演30周年、本当におめでとうございます!!花束贈呈のあとで、深紅のバラをレディたちにプレゼントするシェーンベルク氏、素敵!
写真提供:東宝演劇部
おけぴ取材班:chiaki(取材・文) 監修:おけぴ管理人