明日は、きっとえぇこつ待っちょる! 高度経済成長真っ只中の1960年代、石炭から石油へとエネルギー転換していくなかで、炭鉱に糧を得ている在日コリアン一家のそれぞれの人生を力強く描いた
『パーマ屋スミレ』。「鄭義信 三部作」のラストを飾るにふさわしい、忘れえぬ感激観劇体験となることでしょう。
稽古場からより一層、鮮やかにパワーアップしたフォトコールの様子を須美役の
南果歩さんの会見でのコメント交えてレポートいたします。

須美さんが!

にぎやかな一家が帰ってきた!
「私は再演はあまり望まないタイプですが、2012年の初演時、この作品だけはぜひもう一度という気持ちがとても強かったんです。須美は大地に根を下ろしてその場で咲いている、そこでしっかりと生きている女性、そこに魅力を感じました。そして4年経って、ようやくこの日を迎えることができました」 舞台は九州、「アリラン峠」と呼ばれた小さな町の「高山厚生理容所」。そこに暮らす元美容師の須美とその家族たちの物語です。
「炭鉱の町を舞台にしているので、こういうむさくるしい格好で、みんな汗みどろです。でも、必死で生きている人って美しいですよね」
須美(南果歩さん)、妹の春美(星野園美さん)、春美の夫(森下能幸さん)

仕事へ行く…8時間の別れを惜しむ二人(笑)

盛り上がる二人を傍目に…、平常心な姉二人須美、初美(根岸季衣さん)

写真右)須美の夫・成勲(千葉哲也さん)、その弟・英勲(村上淳さん)もあきれ顔
忘れてはいけないのが、この作品は初美の息子・大吉が当時を振り返るというスタイルで紡がれます。

ノスタルジックな幕開け

少年大吉(森田甘路さん)と大人大吉(酒向 芳さん)
いろいろと変わりましたが、行動は変わらない?!眠っているのはハルベ(おじいちゃん、青山達三さん)

全力で生き、全力でケンカ!

ケンカしながらも強い絆で結ばれている須美夫婦
「義信さんの素晴らしい戯曲、人間愛にあふれた演出によって、どの役のどの人生も大事なんだ。登場人物ひとりひとりに重い軽いがなく、みんなそれぞれの人生の主人公なんだということを強く謳っています。生きるエネルギーにあふれたこの作品を、ぜひご覧ください」 「初演のときは、東日本大震災の翌年で、私たちの中で被災した方への応援歌という思いがありました。この作品に登場する一家も、過酷な状況の中でたくましく生き続けた人々です。今回は、奇しくも九州、熊本の震災の後となりました。6月中旬の北九州の公演も予定通り行います。ご覧になる方へのメッセージの投げかけだけでなく、私たち自身が生きることを見直す作品でもあります」 日本の影の戦後史、三部作もこれにて完結、ぜひ劇場でたくましく生きる人々の姿を目に、心に焼き付けてください!
1965年、九州。有明海を一望できる「アリラン峠」と呼ばれた小さな町があった。
その町にある「高山厚生理容所」、そこに暮らす元美容師の須美とその家族たち。
須美の夫の成勲は炭鉱での爆発事故に巻きこまれ、CO患者(一酸化炭素中毒患者)となってしまう。須美の妹・春美の夫もまたCO患者となり、須美たちは自分たちの生活を守るために必死の戦いを始めた。しかし、石炭産業は衰退の一途をたどり......。
おけぴ取材班:chiaki(撮影・文) 監修:おけぴ管理人