俳優の演技力と観客の想像力とが劇場を魔法の空間に変化させ、
一切の現実を消してしまう一方、
架空の女座長とその一座とを活き活きと現前せしめた。
――井上ひさし 2011年、五月洋子役の
平淑恵さんと
演出家・鵜山仁さんのタッグでうまれ変わった井上ひさしさん初の一人芝居
『化粧』。2014年の再演、そして今回の旅公演も終え、最終公演地の紀伊國屋ホール公演が開幕しました。
平淑恵さんと鵜山仁さんが作り上げる『化粧』ファイナル!早速届いた感想をご紹介いたします。
さびれた芝居小屋の淋しい楽屋。
遠くから客入れの演歌が流れてくるやいなや、大衆演劇女座長・五月洋子は、座員一同に檄を飛ばし始める。
開演前の化粧支度の最中も、口上や十八番の演目である「伊三郎別れ旅」の母と子が再会する場面の稽古に余念がない。
その慌ただしい楽屋に、一人の青年が訪ねてくる。
昔泣く泣く捨てたはずの一人息子と名乗る人物。
その再会をきっかけに、夢と現の二つの物語が重なり合って…
◆
約70分、という短いお芝居ですが、内容量はその何倍も! 戯曲の見事さに酔い、平さんの演技力に酔い、劇場空間に酔いました。平さん、最高です。エア化粧、エア着替え、飄々とした座長振りから鬼気迫る詰めの捨て身の芝居まで、息もつかずに引き込まれました。
◆
鏡もないのに、下地&白塗りの完璧さ!?初めて「化粧」を観劇しました。
一度は見てみたいと思っていましたが、70分の間 ずっと目を離せない状態でした。
楽屋しかないのに、舞台のセットまで感じられるぐらいです。
捨てた&捨てられた親子関係が、舞台(お芝居)と 楽屋(実生活)で 見事にシンクロしています。平さんの世界にグイグイ引き込まれます。
◆
平さんファイナル、ぜひ観てください!昭和の大衆演劇を味わうことが出来ました。
この舞台を観て、浅草木馬館や篠原演芸場に足を運ぶ人が増えたらなぁ。私としては、川崎がオススメです。
◆
あっという間の70分でした。圧巻の一人芝居で、どんどん引き込まれました。
あれだけのセリフを言いながら化粧をほどこし、色々身につけ本当に忙しいのですがそれがあまりに自然で演技とは思えず素晴らしかったです!
井上作品ならではの笑える場面やほっこりする場面がたくさんで同じセリフでも場面によって受け取る自分の感情が違うことに気づき、ハッとしました。最後の平さんの化粧観られてよかったです!
【おけぴ『化粧』過去レポ】2014年の再演公演の稽古場レポート2011年の平さん×鵜山さん版初演稽古場レポート