【桜花昇ぼるさんインタビュー】「桜花昇ぼるファーストコンサートin大阪松竹座〜My Favorite Songs〜」



 元OSK日本歌劇団のトップスター【桜花昇ぼるさん】。その魅力のすべてをつめこんだ、初のソロコンサートが10月16日(日)に大阪松竹座で開催されます。

 ACT1は「春のおどり」主題歌や、レビューで歌ったナンバーなどを集め、OSK時代のヒストリーをたどるショー形式(構成・演出は吉峯暁子さん)。ACT2では王道ミュージカルソング、スタンダードナンバーの数々で“女優・桜花昇ぼる”の新たな一面を見せてくれるとか! (構成・演出は元宝塚歌劇団の村上信夫さん)

 元宝塚歌劇団月組トップスター【真琴つばささん】をスペシャルゲストに迎えるほか、沙月梨乃(さつき・りの)さん、ACCHY(あっちー/旧芸名・篁セイ)さんらOSKのOG、そして元宝塚歌劇団雪組娘役の麻樹ゆめみ(あさき・ゆめみ)さんもご出演。大人のレビュースターの魅力溢れるひとときとなりそうです。

 OSKを退団して2年。これまでの「男役・桜花昇ぼる」、そして「表現者・桜花昇ぼる」の新たな挑戦がつまったコンサートへ向けて稽古中の桜花さんに思いを語っていただきました。






桜花昇ぼるさんプロフィール
OSK日本歌劇団在籍中(1993-2014)は男役として活動。2008年4月大阪松竹座「春のおどり」にてトップスター就任。劇団退団までトップを務める。
天性の恵まれた容姿に加え歌・踊り・芝居とこなす。芝居では正統派の甘い2枚目男役から、ワイルドな役まで器用に演じ守備範囲の広い演技力が評判を呼ぶ。ダンスでは長身から繰り広げられるダイナミックなダンス、歌にも定評がある変幻自在のエンターティナー。
また2005年12月から大阪・名古屋・東京で上演された、真琴つばさ主演の『わが歌ブギウギ』に劇団から外部出演し、歌劇団の男役から主婦(女役)にという難しい役をこなし男役だけではない新しい一面も魅せた。
2007年から上演された「真田幸村」では歌劇の枠を超えた武将「真田幸村」を演じ、大阪だけでなく、幸村ゆかりの長野県上田市、和歌山県九度山町でもミュージカルを開催するなど桜花のライフワークにもなっている。
2014年5月大阪松竹座公演、8月の新橋演舞場公演をもってOSK日本歌劇団を退団し、退団後も日本喜劇人協会『天国のシャボン玉ホリデー』(越路吹雪役)、『シャボン玉飛んどくれ』、劇団往来公演、大阪松竹座では『地獄八景亡者戯』(出雲の阿国役)など、あらゆる舞台公演で活躍している。






【“桜花昇ぼる”の過去、現在、未来すべてがつまったステージに】


──コンサートの第一部は、OSK時代に歌ったナンバーを集めた構成とお聞きしました。

桜花)
 “男役・桜花昇ぼる”をたっぷりと見ていただけます。劇団時代からお世話になっている吉峯暁子先生にリクエストして、私がトップお披露目をした2008年からの「春のおどり」主題歌をメドレーにしていただきました。ほんとうは2004年に大阪松竹座での公演が復活してからの全公演の曲を歌いたかったんですけど、それは時間が足りなくて。
 和物のシーンも衣裳など当時の雰囲気を感じられる工夫がありますし、私が目指すレビューの雰囲気を盛り込んだ場面もあります。劇団時代よりさらに進化した姿を見ていただけるような“仕掛け”もお願いしているところです。


──予定セットリストを拝見すると、懐かしいナンバーから、盛り上がり必至の定番ナンバーまで盛りだくさんの内容ですね。

桜花)
 一幕だけでもお腹がいっぱいになるくらい「これ以上はない!」というものを盛り込んでいます。お客さまには「こんなにやっちゃって、二幕はどうなるんやろ?」とザワザワしながら幕間の休憩時間を過ごしていただければ(笑)。




第二部の演出を手がけるのは、元宝塚歌劇団演出部の村上信夫さん。
「これまでにない“桜花昇ぼる”の新しい顔を引き出してほしい」という思いから実現した初タッグです!
二部では生バンド演奏での歌唱も楽しみなポイントです。



──第二部での大きな挑戦は「女性の心」を歌うことだとか。OSKを退団された後、多彩な活動をされていますが、真田幸村役(『大阪城パラディオン 』- 将星☆真田幸村 -)など男役として舞台に立つ機会も多い印象です。

桜花)
 そうなんです。自分で思っていた以上に男役としてのお仕事をたくさん頂きまして。退団して2年経ちますが、いまだに髪も短いままですし、久しぶりにお会いする方にも「(在団中と)ぜんぜん変わっていないね」とよく言われます(笑)。
 女優としての活動も少しずつ始めていますが、「まだまだ骨格が“男”」と言われることも多くて(笑)。子供の頃から背は高い方でしたが、ランドセルが滑り落ちるくらいの“なで肩”で体格も華奢なほう。ですので、もっとすんなりと女性に戻れるかなと思っていたのですが、OSKで22年、学校時代を入れたら24年間、男役をしていたことで“男役骨格”がしっかりと育っていたみたいです。
 スカートもお稽古着や衣裳では使いましたが、プライベートではまだ(笑)。この間、「これならイケるかも」とスポーティでちょっと丈が長めなものを買ってはみたんですが、まだ穿いていません。


──女優として、いわゆる“恋愛もの”は未経験だと思いますが、今回のコンサートでは「恋する女性の気持ち」を歌ったナンバーもたくさんあるとか

桜花)
 どうやって歌えばいいんだろうと悩んで、周りに相談したときに「男とか女とかではなく、人間としてその曲の気持ちになれたら、それが一番では」と言っていただいて。ほんとうにそのとおりだなと思いました。身体の使い方、見せ方は別にして、気持ちの上では男も女も違いはないのかな、と。OSKを退団してすぐの頃は「女性だから」とか「男役だから」という意識があったような気がしますが、今はあまりこだわらずに人間としての感情を歌えればいいなと思っています。
 といっても「骨格が男」ですので(笑)、女性としての見せ方はもっと研究が必要。ずっと続けている日本舞踊の“女性らしくみせる技”も使いながら美しく見せたいです。衣裳もドレスで、すこし肌が出るタイプのものもありますので、そのスタイルに沿った中身を出していきたいと思っています。男役のブーツのように、足元のパンプスひとつで気持ちも変わってきますから。





【かつて共演した真琴つばささんが特別ゲストに。そして頼もしい共演者たち】

 
──『わが歌ブギウギ』で共演した、元宝塚歌劇団月組トップスターの真琴つばささんが特別ゲストとして出演されることも話題です。

桜花)
 『わが歌ブギウギ』では、笠置シヅ子さんの役をマミさん(真琴つばささん)が演じて、私はその親友役でした。OSKの大先輩である笠置シヅ子さん役を素敵に演じてくださったマミさんには本当に感謝していますし、その縁の曲をふたりでデュエットできるのを楽しみにしています。
 共演からもう11年経ちますが、その後もマミさんのディナーショーを見に行ったり、2年前の新橋演舞場での私の卒業公演を見に来てくださったりと交流は続いていて。私のほうが人生の下級生ではありますが、同じ“表現者”として生きてきた者どうし、なにか相通じるものがあるのでは、と舞台上での久しぶりの出会いを楽しみにしています。


──個性の異なるお二人の共演、今からとても楽しみです。ほかにも頼もしいメンバーが揃っていますね! OSK時代の先輩、同期生、後輩に加えて、元宝塚歌劇団雪組の娘役として活躍されていた麻樹ゆめみさんのお名前もあります。

桜花)
 実はOSK時代のある先輩から、こういう娘役さんがいらして、歌もとてもお上手で、宝塚では副組長までされていて…というお話は聞いていたんです。その方から「いつか共演してほしいわ」とも言われていたのですが、その頃は面識もなかったので無理かなと思っていました。それが今回ひょんなことからお話がすんなり決まって。実はそれぞれOSKと宝塚を退団した時期がほとんど一緒。なんてご縁があるんでしょうとびっくりしているんです。実際にお会いしてみると、とにかく気持ちの明るさ、モチベーションの高さが素晴らしい方。明るくて堂々とした華やかさも見習うべきところだな、と刺激になっています。


──OSK時代に苦楽をともにしたOGたちの出演も、ファンの方には嬉しい贈り物になりそうです。

桜花)
 萌 川菜(もえぎ・かわな)さんはOSKの一期上の先輩。一期違いというのは学校時代から一番接点があって、一番厳しい指導を受ける間柄です(笑)。しかも萌さんは私の“担当さん”で、直接ご指導いただいた方なんです。
 解散の危機の際には、存続のため共に活動し、その後もいろいろなことがあったOSKで共に歩んできてくださった先輩です。今回またご一緒できるのは本当に嬉しいですし、大切に演じたいです。



振付中に動きを確認する萌川菜さんと桜花さん。
(背中を向けているのは振付担当のACCHYさん)
長い時間をともに過ごしたメンバーだからこそ出せる信頼感、安定感がありました。



──同期生の沙月梨乃さんとACCHYさんも出演されていますね。

桜花)
 ACCHYは振付家として大活躍で、OSK公演はもちろん、システィーナ歌舞伎など歌劇以外の舞台公演の振付も手がけて忙しいなか参加してくれました。劇団から出てショーを作るのは大変な面もありますが、これまでもずっと助けてきてくれた彼女の参加はほんとうに心強いです。
 そして、状況がどんなに厳しくてもお客さまに最高のステージをお届けしたいという思いを理解し協力してきてくれたもうひとりの同期生が沙月梨乃です。彼女は同期生のなかでもひときわ輝いていて、早くから娘役トップスターを務めていた人。芸の技術も舞台に対する考え方も、同期生全員が追いつけないほど秀でた存在でした。早くから抜擢されていたぶん、たくさんのノウハウを持っていますので、彼女の参加もほんとうにありがたいです。ちなみに…私たちの学年は沙月が組長で、私が副組長、そしてACCHYが会計係だったんですよ(笑)。


──66期生のトップスリーが再び集結! ですね。3人の姿を松竹座の舞台で見られるのはファンの皆さんにはほんとうに感慨深いものがあると思います。退団後の共演も多い後輩、美森あいか(みもり・あいか)さんと実桜くらら(みおう・くらら)さんの参加も楽しみですね。

桜花)
 美森あいかちゃんは私の初めての主演作『ヘンゼルとグレーテル』(演出:吉峯暁子)の相手役。そのあとも長い間コンビを組んでいました。彼女のほうが一期下ですが、「男役10年」という言葉があるように若い頃は娘役さんのほうが早く成長していくんです。男役は発育が遅くて(笑)。それでも学年は上なんだし、しっかりしなくてはという焦りやジレンマが私のなかにあって、彼女を傷つけてしまったこともあったかもしれません。舞台人としての反省です。今回せっかくまた松竹座の舞台で巡り会えたので、温かい雰囲気で包み込めればと思っています。
 実桜くららちゃんは劇団時代から慕ってくれて、卒業後の共演も多いんです。聞くところによると、芸名の“実桜”の桜は“桜花昇ぼる”から取ったとかなんとか(笑)。今回のメンバーでは一番若いですし、劇団のトップスター格が集まっているのでついてくるのは大変だと思いますが、OSK時代にどんなことがあっても根性を持って乗り切ってきた子ですので、期待しています。
 


振付中の一コマ。みなさんの吸収の速さにびっくり!
精鋭メンバーのキレキレの動き、美声ハーモニーにもご期待下さい♪
写真左から:実桜くららさん、美森あいかさん、ACCHYさん、沙月梨乃さん、麻樹ゆめみさん





【表現者“桜花昇ぼる”が目指すもの】



──OSK時代の集大成ともいえるACT1、そして新たな挑戦となるACT2。このコンサートを全うすることでなにか見えてきそうなものはありますか? 今後の活動で目指すものなどあれば教えてください。

桜花)
 劇団を出て、ひとりの表現者として活動していく上で「男役」ということが足かせになる現実もあります。女優としては背が高いというだけでハンディになることもある。でも私はOSKの男役だったことを自分の強みにしていきたいんです。もちろん女性としての部分も大切にしていきたいとは思っていますが、男も女も演じられる、それを深めていきたいという思いがますます強くなってきています。衣裳を変えてウィッグをつければ変身できるので(笑)、急いで髪を伸ばさなくてもいいかな、と今は思っているんです。


──女性として柔らかい雰囲気があった上での男役、さらなる成熟が楽しみです。今回のコンサートでもいろいろな桜花さんが見られそうですね!

桜花)
 ACT1は「男役・桜花昇ぼる」を知り尽くしてくださっている吉峯先生が、男役のかっこよさ、レビューの楽しさをいっぱいに盛り込んでくださっています。そしてACT2は、これまでになかったようなスタイリッシュな雰囲気を楽しんでいただけると思います。ファッションショーのようなおしゃれな舞台に仕上がっていると思いますので、ぜひ大阪松竹座で「桜花昇ぼる」のいろいろな顔を楽しんでください。



かっこよさと美しさ、そしてふわっとした“天然系”な魅力♪
すべてをあわせ持つ桜花昇ぼるさん。
 



「桜花昇ぼるファーストコンサートin大阪松竹座〜My Favorite Songs〜」
10/16(日) 11:00/15:00 
大阪松竹座(おけぴ劇場map

ACT1 構成・演出:吉峯暁子
ACT2 構成・演出:村上信夫
音楽:竹内一宏

出演:
桜花昇ぼる
スペシャルゲスト:真琴つばさ

沙月梨乃/ACCHY/萌川菜/美森あいか/実桜くらら/
麻樹ゆめみ

OSK日本歌劇団を退団後、男役としてお芝居やリサイタルでの活躍も目覚ましい桜花昇ぼる。
歌、ダンスの実力に加え華やかで親しみやすい持ち味にも注目が集まっています。
今回はそんな桜花昇ぼるの多彩な魅力を表現し、OSKの故郷、大阪松竹座で初のコンサートを飾ります。
スペシャルゲストも加わり、桜花昇ぼるの新たな旅立ちに華やぎを添えます。
桜花昇ぼるの「2つの世界」にご期待ください。

大阪松竹座
公演詳細情報


おけぴ取材班:mamiko(文・撮影)  監修:おけぴ管理人

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