元OSK日本歌劇団トップスターが“出雲阿国”役をダブルキャストで!
(写真左から:洋あおいさん、桜花昇ぼるさん)
<追記>【舞台写真&観てきた方の感想コメントが届きました!】詳細は本レポ後半で!
あの世の沙汰も“芸”次第!?2月6日に大阪松竹座で初日を迎える、
桂米朝 追善芝居 『地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)』。
江戸時代の大坂を舞台に、あの世で起こる奇想天外な道中ものは、昨年3月に亡くなった上方落語の巨星・桂米朝さんの代表作の一つ。今回、歌と踊りをまじえた舞台で、明るく楽しく偲ぶ、追善芝居。おなじみの落語の登場人物たちが繰り広げる、あの世での“芸対決”(?)は必見。はたしてなにが飛び出すのでしょうか!?
桂ざこばさんが演じる主人公は、売れない落語家・泥丹坊堅丸(どろたんぼうかたまる)。
ひょんなことからあの世へと来てしまった堅丸が出会う人達とは?
三倉茉奈さんと長江健次さんは、冥途の道行!?
閻魔大王さまは、桂南光さん、桂雀三郎さん、桂文之助さんのトリプルキャスト!
(この日の閻魔さまは雀三郎さん♪)
桂ざこばさんら米朝一門に加え、ISSAさん(DA PUMP)、三倉茉奈さん、長江健次さんなどバラエティ豊かな出演者たちが繰り広げる、笑いと人情、そして舞台ならではのパフォーマンスが見どころ。
冥途で繰り広げられるダンス対決に、華麗なレビュー、ISSAさんほかDAPUMPメンバーがストリートダンスでステップを踏めば、元OSKトップスター洋あおいさん&桜花昇ぼるさんがレビュースターならではの華麗な舞いを披露♪ はたして閻魔大王のお裁きは…!?
ダブルキャストで出雲阿国(いずものおくに)役を演じる洋あおいさんと桜花昇ぼるさんのコメントとともに稽古場レポートをお届けします。
「出雲阿国には以前から憧れていた」と話す洋さん。
「かぶき踊りの創始者、言ってみれば“男役”の先祖ですから」
洋)“踊りのOSK”と言われ、レビュー中心でやってきましたので、この大阪松竹座の舞台でみなさまに阿国として踊りを見ていただけるのが嬉しいです。
男性が女役を演じることは世界各国よくあるんですが、女性が男役を演じる“歌劇”は日本にしかない文化なんだそうです。
今回の舞台では、その歌劇の男役のイメージと同時に“大阪のおばちゃん”らしさも出してほしいと言われています(笑)。喋り口調もかっこいいレビュースターとおばちゃんの落差を付けてほしいと。
ダブルキャストで阿国を演じる桜花ちゃんは、OSK時代から二枚目のイメージですが、私は在団中から三枚目の役もやっていたので、こういう役は十八番(おはこ)…とまでは言えないですが、やっていて楽しいですね。
「私がOSKに入ったとき洋さんはすでに大スターでした」
先輩とのダブルキャストに「すごく光栄でありがたいこと」と語る桜花さん。
桜花)OSK時代から洋さんの芸が大好きでした。劇団に入ってまだ右も左も分からない頃、お芝居のことをよく聞きに行っていたんです。洋さんはいつも的を得たアドバイスをくださいました。男役としての髪型や化粧とかも洋さんに全部教えていただきここまで来たので、今回ダブルキャストをさせていただけるのが本当に嬉しいです。
(米朝一門との共演について)私、旭堂南陵師匠に弟子入りして講談の修行もさせていただいているので、寄席でご一緒したことのある兄さんたちがたくさんいるんです。なぜだかはわからないんですが、噺家さんのなかにいるのがすごく心地良くて(笑)。(米朝さんの)奥さまの駒ひかるさんが引き寄せてくださったご縁なのかなと思っています。
おふたりの先輩であり米朝さんの妻でもあったOSSK(現OSK)の元男役スター【駒ひかるさん】ゆかりのパフォーマンスが、阿国の見せ場のひとつ。
レビューの男役だからこその見せ場…
どんな“パフォーマンス”なのかはぜひ劇場でお確かめを!
洋)“あしゅら男爵”ってわかります? これがヒントです(笑)。
駒ひかるさんがブギ全盛期にされていた十八番の出し物で、大阪ではすごく有名だったんですって。今回の音楽はブギではなくて「男と女」。ダバダバダ~♪ のあの曲にのせて、踊らせていただきます。駒さんの写真も残っているんですよ。残念ながら映像だけ残っていないので、桜花ちゃんとふたりでイメージを膨らませて、鼻息荒く頑張っていますが、これがなかなか難しくて…。OSKをやめて10年以上になるんですが、なかなか男役が抜けないんです。だから今回の踊りも、ね? 難しい部分があるんです。男、女、どっちかな? って(笑)。
洋さん、桜花さんそれぞれの個性が光るダンス。
写真手前は関口まいさん。洋さんの奥はISSAさん。
関口さんはざこばさんと“親子ならでは”のやり取りも♪
ISSAさんのキャラクターも面白すぎる! かっこいいステップとのギャップ(?)必見!
洋)ISSAさん演じる名古屋山三と阿国は恋仲…と言いますか、ふふふ。
私ね、
製作発表でも言ったんですがDA PUMPさん大好きで。OSK時代のリサイタル公演で「Com'on! Be My Girl!」を歌ったこともあって憧れだったんです。
桜花)阿国が山三に惚れているのと一緒で、ISSAさんの真面目な姿勢に“惚れて”います。稽古場にもすごく早く入られるし、他の人の稽古を見る目も鋭いんです。あの真面目な姿勢がこれまでの道を作り、今ここにいらっしゃるんだろうなと感じます。
洋さんもおっしゃってますが、実は私もOSK時代にDA PUMPさんの曲を歌っていたんです。曲はすごくアツいんですが、今回お会いして、ご本人はとてもクールな方だな、と。そのクールさのなかのアツさ。これが山三の役にぴったり。
ISSAさん、この日も稽古場の片隅でセリフや振付を打ち合わせ。
(写真左はDA PUMPメンバーのYORIさん)
テレビで見せるお顔とはすこし違う“役者”桂ざこばさん。
米朝一門のひとりでもある三林京子(桂 すずめ)さんとの息もピッタリ。
米朝一門のみなさん、さすが高座で鍛えた語り芸。
さらに、松竹新喜劇のみなさん、現役OSK日本歌劇団劇団員&OGのみなさんもご出演!
洋)ざこば師匠がほんとうに“言葉”のひとつひとつを大事にされていることをひしひしと感じます。特に“間(ま)”がすごい。落語はひとりで複数の人間を演じますから、芝居の“間”とまた違うんですね。言葉の“間”でお客さまを笑わせる…難しいです。
私、もともと落語が大好きなんです。ISSAさんたちの踊るダンスも好きですし、松竹新喜劇のみなさんのお芝居も楽しくて…お稽古しながらワクワクしています。
桜花)OSKの後輩たちが一緒なので、とっても心強いです! 日舞の振付のときに先生から“OSKの子は(踊りに)癖がないね”って言っていただいたんです。お稽古を繰り返して、振付をからだに叩きこまないと癖のない踊りってできないんですよ。OSKのみんなって、ほんとにずっとお稽古しているんです。スタッフの方に“いい加減にして、そろそろ帰りや!”って言われるくらい(笑)。でもそれくらいの稽古をしないとOSKにはなれない。だから先生のその言葉が嬉しかったですね。
稽古場の片隅で、動きの確認をするおふたり。
“ひとりでふたり、ふたりでひとり”なダブルキャスト&パフォーマンスに期待が高まります♪
洋)上方落語を代表する米朝師匠の追善公演に出演できるなんて光栄なこと。奥さまがOSKの先輩ということもありますし、桜花ちゃんとふたりで、先輩から“OSKの力をお客さまに見せなさい。がんばるんだよ”と言われている気がします。
とにかくこの芝居、とっても楽しいんです。いったん冥途に行った男が、人生をしっかり生きていくというメッセージ、いまこの時代にとても響くものがあると思うんです。たくさん笑って、元気になっていただける芝居になるはずです。
桜花)凛とした女性を演じたいと思います。私、OSKにいたときに出し切れていなかった芸がある、と思っています。今回、レビューの元祖、OSKの大先輩とも言える阿国さんの役を演じることでエネルギーをいただき、いろんな力をお借りして、これまで出せなかったレビューの、そして芝居の力を出せれば。華やかに演じたいと思います。
「桜花ちゃんとのダブルキャスト、静かな情熱が燃え上がっています!」(洋さん)
「芸でその場を和ませることに挑戦したい」(桜花さん)
老若男女笑って楽しめる超・落語芝居♪
『地獄八景亡者戯』は、2月6日から22日まで、大阪松竹座にて上演されます。
“芸は身を助く”。
この言葉の意味、ぜひ劇場で確かめていらしてくださいね!
【舞台写真&観てきた方の感想コメントが届きました!】(♪青字はおけぴに寄せられた感想コメント)
ひょんなことから“あの世”へとやってきた男たち。
旅は道連れ世は情け!? 奇妙な道中が始まります!
(写真左から:桂団朝さん、江口直彌さん、桂ざこばさん、桂米紫さん)
♪ざこばさんの米朝師匠に対する愛がつまっています!♪おもろかったわ~」「あっちゅう間やったねぇ」「得したわー」東京から観に行った甲斐がありました!♪上方芸能界の重鎮で、人望も人気も絶大だった落語家、故・桂米朝師匠の追善興業初日がはね、ロビーに溢れたのは芸にうるさい大阪人の笑顔でした。
それもそのはず、米朝師匠の代名詞的大ネタ『地獄八景亡者戯』を本筋に、OSKの華麗なレヴューがあれば、DA PUMPのキレッキレなヒップホップダンスもあり、本格寸劇や上方舞、松竹新喜劇風のコントまで大サービスされて、会場は大盛り上がり!
「芸というものは、芸人とお客さんとが一緒に育てて作っていくもんや」所々に散りばめられた師匠の名言、それに奮い立たされるように一丸となって頑張るお弟子さん達の熱演を見ていると、芸でつながった絆の強さに思わずジーンときてしまいました。地獄見物にやってきた若旦那(長江健次さん)と、おっとりした喋り口調の芸者・小糸(三倉茉奈さん)。冥土への道行もどこか微笑ましい…♪
「OSK vs DA PUMP」
芸のぶつかり合い&融合から目が離せません。
出雲阿国と名古屋山三、それぞれの“芸”への心意気をみせるバトルが勃発!
♪とにかく豪華な出演者に数々の秀でた芸が次々に披露され、時間を忘れます。特にジャンルの異なるダンスバトルは圧巻で鳥肌がたちました。随所に散りばめられた米朝師匠の至極の言葉が舞台を引き締めてじんと胸にきました。♪落語の予習をしなくてもあらすじを読んでいれば十分に楽しめます。「伝えたいこと」が、よく伝わる舞台でした。OSKのダンスはもう少し観ていたかった!♪きらびやかな衣裳が素敵です。OSKさんとDA PUMPさんのダンス対決がいいです。死んだ落語家の妻(三橋京子さん)と娘(関口まいさん)がパワフル!
でもこの2人が後半、客席をジーンとさせてくれるんです…。
♪役者の入れ替え(ダブルキャスト、トリプルキャスト)やランダムな隠し芸コーナー、日替わりゲスト等があり、2度3度と来ても飽きない工夫がされているのはサスガです。
ロビー階では米朝師匠のミニ写真展も併設され、師匠の笑顔に見送られながら“ごきげんさん”で劇場を後にしました。♪ロビーにあった米朝師匠の年譜が幕間の楽しみでした。♪米朝師匠や落語に関するネタがちりばめられていてとても感慨深いです。♪閻魔さんが天国行か地獄行の判決を下す際のやりとりは、アドリブで、毎日違ってそうなので、楽しみにしたいところ。♪三林京子さんの存在感が凄かった!
♪ざこばさんの人情味あふれるところが良かったです。ラストの米朝師匠の場面は感動的ですよ。笑いあり涙あり、オススメの作品です。♪知っている顔がたくさん出てきて、ちょうどいい具合の笑いを見せてくれて…と油断していたら、最後に大いに泣かされました! 落語だけでなく、お芝居やレビューへの“愛”がたくさんつまった作品でした。そしてなにより、ざこばさんのチャーミングさに脱帽!あの世でレビュー♪
可憐なOSK娘役のみなさん、閻魔様の前でもハイレベルなロケットダンスを披露です!!
なんでもあり、の笑いがいっぱいつまったこのお芝居。でも最後には、舞台の上に立つ者の“覚悟”が伝わる場面が待っています。
上方落語、レビュー、喜劇…舞台への愛がつまった、桂米朝 追善芝居 『地獄八景亡者戯』は2月22日まで大阪松竹座にて上演中です。お見逃しなく!
舞台写真提供:大阪松竹座 感想コメント:おけぴ会員のみなさま
おけぴ取材班:mamiko (インタビュー・文・撮影) 監修:おけぴ管理人